スイートハート・チョコレート
(甜心巧克力/Sweetheart Chocolate)
story
上海でチョコレートショップを開いているリンユエ(リン・チーリン)は、今年も特製のトリュフを作り、日本へ行く準備をしていた。いつも一緒の総一郎(池内博之)は画廊の仕事が忙しく、今年は行けないらしい。リンユエは一人で、大晦日の夕張へと旅立つ。
真っ白な雪で覆われた鹿の谷駅に着いたリンユエを、あすなろ学園の園長、加藤(山本圭)が迎えに来ていた。あれから10年。リンユエは亡き恋人、守(福地祐介)の墓に祈りを捧げる。10年前、『幸せの黄色いハンカチ』に憧れて上海から夕張へ留学していた画学生のリンユエは、ゲレンデで写生をしていた時に、レスキュー隊の守と出会ったのだった。
当時、リンユエは守のレスキュー隊の兄貴分でもある総一郎の母(左時枝)が営む宿に滞在していた。最初にリンユエに惹かれたのは総一郎だった。だが、リンユエは快活で真直ぐな守にどんどん惹かれていた。得意のチョコレートを作り、大晦日の夜、街の家々に配って回る守。そのチョコレートは特別な味がした。二人の仲は急速に近づいていった。
リンユエが上海に戻った後、太郎が幼なじみとの結婚報告にやって来る。守が住む養護施設のあすなろ学園で育った太郎はすっかり成長していた。「踏み出す勇気があれば幸せになれる」それを総一郎に伝えに来た太郎。総一郎は郷里の母や周りの友人たちからも、リンユエとの仲を心配されていた。春節で訪れたリンユエの祖母も同じ思いだった。
総一郎はついに勇気を奮い起こし、バレンタインの夜にレストランで食事をした後で指輪を渡そうとする。ところが、リンユエが先にプレゼントを差し出した。それは、かつて守と3人で雪の上に寝転がったシルエットをチョコにしたものだった。リンユエには、総一郎へと踏み出せないもう1つの理由があった…。
●アジコのおすすめポイント:
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭が中止に追い込まれた07年、映画を作って夕張を応援しようと思いついたミッシェル・ミーが製作&共同脚本を手がけ、篠原哲雄監督と日中スタッフで12年に完成させたのが本作です。日中国交40周年のその年に盛大に公開される予定でしたが、社会情勢の影響を受け、東京国際映画祭でひっそり特別上映。以後、幻の作品となっていました。しかし13年の光州国際映画祭で審査員大賞を受賞。翌14年にはお蔵出し映画祭で最優秀作品賞を受賞し、晴れて公開されることに。めでたし! 主演は日本映画でも活躍する美女リン・チーリン。彼女を愛する二人の男性を池内博之と新人の福地祐介が演じ、雪の夕張と上海を舞台に、爽やかでせつない10年愛が綴られていきます。3人の愛を繋ぐ重要アイテムがチョコレートというのもポイント。お茶目な女子大生からパティシェ姿まで、リン・チーリンの様々な魅力が味わえる作品になっています。
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