鬼はさまよう(殺人依頼/The Deal)
story
ソウルの京洞警察署では、雨の日に頻発する連続女性失踪事件の捜査が進まず、世間から非難されていた。すでに8人の行方不明者が出ているのに、何の手がかりもつかめないのだ。チェ係長(キ・ジュボン)は部下たちを引き締め、ベテラン刑事のテス(キム・サンギョン)と相棒のギソク(チョ・ジェユン)たちを捜索に送り出す。
真面目な銀行員イ・スンヒョン(キム・ソンギュン)は、新婚の妻スギョン(ユン・スンア)と携帯メッセージをやりとりしながら残業していた。妊娠がわかったスギョンは、その夜、夫を喜ばせるつもりだった。ところが、殺人鬼ガンチョン(パク・ソンウン)に狙われてしまう。
いつものように山中に死体を隠したガンチョンだったが、接触事故を起こして逃走。彼を捕まえたのはテスだった。不審に思ったテスの要請で、彼の車から多数の血液反応が見つかり、テスのお手柄となる。しかし、9人目の犠牲者の携帯電話が妹ものもとわかり、テスは激しいショックを受ける。
ガンチョンの自宅の庭から3人の遺体が発見されるが、彼は他の6人の遺棄場所を黙秘していた。テスの違法な脅しにも屈せず「自分で探してみろ」と笑うガンチョン。実地検分の時、思いつめたスンヒョンがガンチョンに襲いかかるが、テスが制止。テスはスンヒョンをいたわるが、彼は心を閉ざして行く。そして死刑が確定したまま、3年が過ぎた。
暴力団テソン派のボス、オ・ヨンソク(ソン・サンギュン)が何者かに殺される。テスたちは動機のある者たちを調べはじめるが、そこにはスンヒョンの影があった…。
●アジコのおすすめポイント:
冷酷な殺人鬼に妻と妹を奪われた男たちの深い悲しみと憤り、そして復讐をサスペンスフルに描いた人間ドラマです。雨が降ると、まるでゲームのように殺人を楽しむサイコキラーは、捕まっても反省するどころか獄中でも身体を鍛えるような男。心のないターミネーターのような殺人鬼を、このところ悪役づいているパク・ソンウンが不気味に演じています。対するキム・サンギョンの熱血刑事ぶりはハマリ役ですが、驚いたのは夫役のキム・ソンギュン。こんなに幅広い演技のできる人だったのかと脱帽しました。監督は新鋭のソン・ヨンホ。演技派たちによる豪華なキャスティングを巧みに活かした、見事な長編デビュー作です。さて、冷血な殺人鬼に引導を渡すのは誰でしょう?
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