ブラインド・マッサージ(推拿/Blind Massage)
story
シャオマー(ホアン・シュエン)は、幼い頃に交通事故で視力を失った。「いつか回復する」という医師の診断を信じて生きてきたが、一向にその日は訪れず、成長するとマッサージの技術を学び、南京にあるマッサージ院に就職する。そこでは多くの盲人が働いていた。
シャー・フーミン(チン・ハオ)とチャン・ツォンチー(ワン・ジーホア)が経営する盲人マッサージセンターは繁盛していた。二人とも盲人だが、シャーはやり手の営業マンであり、結婚を夢見て見合いを繰り返している。だが、相手に気に入られても、親族から視覚障害者であることを理由に断られ続けていた。
一方、チャンは腕利きのマッサージ師であり、現場を束ねている。新人スタッフのドゥ・ホン(メイ・ティン)は客からも評判の美人だが、生まれつき目が見えないため、容姿をほめられるたびに嫌気がさしていた。同じく生まれつき目が見えないシャーは、ドゥ・ホンの美しさに興味を持ち、彼女の美を手に入れたいと思いはじめる。
そんなある日、シャーの同級生ワン(グオ・シャオトン)が恋人のコン(チャン・レイ)を連れてやって来る。二人は公認の仲だが、コンの親族が結婚に反対しており、駆け落ち同然で転がり込んで来たのだった。しばらく共に働くことになったコンの色香に、まだ若いシャオマーは強い欲望を感じはじめる。
爆発寸前の欲望を抱えたシャオマーを見かねた同僚が、彼を行きつけの風俗店へ連れていく。風俗嬢のマン(ホアン・ルー)と出会ったシャオマーは、彼女にコンと同じ匂いを嗅ぎ取り、足しげく通うようになる。マンも純粋なシャオマーに惹かれ始めていた。そしてついに、事件が起こる…。
アジコのおすすめポイント:
世界の映画祭で注目され続けてきたロウ・イエ監督が、ビー・フェイユィの小説「ブラインド・マッサージ」をもとに盲人の世界を赤裸々に描いた異色作。ベルリンを始め、台湾金馬奨やアジア・フィルム・アワード、華語電影傳媒大賞などで数々の受賞に輝き、これまでで最多受賞作品となっています。映画の冒頭には音声によるナレーションが入っており、カメラもあえてぶらしたりと、盲人への配慮や盲人にとっての世界が体感できる作りに。常連俳優たちの演技も真に迫っており、ポスターにもなっている集合写真での主人公たちは、まったく俳優さんとわかりません。実際、撮影中は俳優たちの中に盲人スタッフが参加しており、自然な演技を引き出しているようです。本作でデビューすることになったチャン・レイは視覚障害者でプロのマッサージ師ですが、まさに体当たりで大胆なベッドシーンも演じており、数々の新人賞も納得です。主人公のシャオマーを演じたホアン・シュエンは、2018年公開予定の日中合作大作『空海 -KU・KAI-』でも染谷将太と共に主演予定。今からご注目を!
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