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娘よ

監督:アフィア・ナサニエル
脚本:アフィア・ナサニエル
撮影:アルムグハーン・ハサン
編集:アルムグハーン・ハサン
美術:ノーマン・カーシフ
音楽:ピーター・ナシェル
出演:サミア・ムムターズ、サーレハ・アーレフ、モヒブ・ミルザー、アーシフ・カーン、アジェブ・グル、アドナン・シャー・ティブ、クリスタン・イブラヒム、アブドラ・ジャーン

2014年/パキスタン・米・ノルウェー
日本公開日/2017年3月25日
カラー/デジタル/93分
字幕:松岡葉子
配給:パンドラ
(c)2014-2016 Dukhtar Productions LLC.
2014年 南アジア国際映画祭
 監督賞(アフィア・ナサニエル)/観客賞
2014年 ベンガルール国際映画祭 審査員特別賞
2015年 モジアク南アジア国際映画祭 特別賞
2015年 ソノマ国際映画祭 作品賞
2015年 クレテイユ国際女性映画祭 観客賞
2015年 国際女性映画&TVショーケース 審査員賞
2015年 コロンビア大学映画祭
 脚本賞(アフィア・ナサニエル)
2015年 ラックス・スタイル・アワード
 女優賞(サーレハ・アーレフ)
2014年 WIFTS Foundaton International Visionary Awards
 審査員賞(アフィア・ナサニエル)


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娘よ(Dukhtar)

story

 パキスタン、インド、中国との国境付近にそびえるカラコルム山脈の麓には、数多くの部族が暮らし、衝突と融和が繰り返されてきた。その中のある部族で暮らすアララッキ(サミア・ムムターズ)にとって、10歳になる娘ザイナブ(サーレハ・アーレフ)と過ごす日々が生きがいだった。

 ある日、他の部族と紛争が起こり、双方の仲間や親戚が殺し合いに巻き込まれてしまう。アララッキの夫で部族長のドーラット(アーシフ・カーン)は報復の連鎖を終わらせるため、紛争相手の部族長トール・グル(アブドラ・ジャーン)に友好関係の回復を申し出るが、トール・グルは解決の条件としてドーラットの幼い娘を自分の嫁にと要求した。

 ドーラットは了承し、妻のアララッキに伝えた。15歳の時、ドーラッドに嫁がされたアララッキは、まだ若くて美しい。そして、最も恐れていたことが現実になろうとしていた。まだ結婚の意味も理解していない幼いザイナブの人生が、終わりを告げようとしているのだ。

 婚姻の準備が着々と進められ、いよいよ結婚式当日の朝を迎える。そして、ドーラットがザイナブを呼びに部屋へ入ると、アララッキとザイナブの姿が消えていた。二人は逃走したのだ。部族間で決められた約束を破棄することは、死を意味する。双方の部族連合による追っ手が送り出された。

 命がけの逃避行が始まった。追跡者たちから危機一髪で逃れた二人は、偶然出会ったトラック運転手のソハイル(モヒブ・ミルザー)に助けられる。何も知らずに助けたソハイルだったが、自分の身も危なくなったことに気づく。途中で立ち寄った親友も殺されてしまった。後戻りができない中、故障したトラックを捨てた3人は冬の山へと向かっていく。

アジコのおすすめポイント:

パキスタン出身の女性監督、アフィア・ナサニエルが実に構想10年をかけ、資金面や危険地帯での撮影ロケなどで苦労を重ねながら完成させた渾身作です。そのきっかけとなったのは、子供の人生のために母親が娘二人を連れて村を出たという実話。家父長制が根強く、女性が日常的に虐げられる社会の中で、幸いにも女性が強い家系に生まれた監督。ラホール大学を出た後、米国コロンビア大学で映画を学び、積年の思いをぶつけた本作で長編監督デビューに至っています。女性や子供の人権を踏みにじる悪しき因習を告発する社会的側面を持ちながらも、本作が際立っているのは、その風景の美しさ、壮大な自然を生かしたダイナミックな映像の魅力もあるでしょう。また、まだ若い母と娘によるスリリングな逃避行にハンサムな助っ人も加わり、淡いロマンスも描かれています。舞台やCFなどで活躍する人気俳優をキャスティングした本作は、世界の映画祭で数々の受賞に輝き、本国パキスタンでも大ヒット。米国アカデミー賞外国語映画部門のパキスタン代表にも選ばれています。現在は米国をベースにパキスタンと行き来しながら、監督志望の学生指導にあたっているという監督。勇気ある女性たちの意識が社会や因習を変えていくことを祈ります。


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