修羅の剣士(三少爺的劍/Sword Master)
story
異様な形相で人々に恐れられる剣豪イエン・シーサン/燕十三(ピーター・ホー)が、最強の剣士として「第三の師(三少爺)」と讃えられるシェ・シャオフォン(ケニー・リン)と勝負するため、彼らの一族が住む神剣館へやって来た。しかし出迎えた館主ソン(ノーマン・チョイ)から、シャオフォンは死んだと聞かされ呆然とする。
長らく剣客として生きてきたイエンは、心身を酷使したため余命わずかの命だった。人生最後の大勝負の夢が消えた彼は、名医がいる百花林を訪ねるが手立てはない。彼は自ら棺桶をしつらえ、墓守のところで余生を過ごすことにする。はじめは怖がっていた村人たちも、彼に悪意がないことを知り、剣を教えてもらうほど馴染んでいった。
その村の近くにある苦海鎮に、汚い身なりの浮浪者がたどり着く。彼は妓楼にひろわれ、チー/吉という名で下男として働き始める。彼こそ、剣を捨てて家を飛び出したシャオフォンだった。彼は新米遊女のリー(ジャン・イーエン)と親しくなるが、ある日、非道な客の相手をさせられたリーを助けて、彼女の里へ共に逃げ帰る。
リーが遊女をしていることを知らない母親(パオ・ヘイチン)や兄(マー・ジンジン)たちは、二人を歓迎。しかし、妓楼の主が追手を送り込み争いとなる。彼らを助けたのは、村に住み着いたイエンだった。チーはイエンに弟子入りすることになり、二人は交流を深めていく。
しかし、シャオフォンの許嫁だったムユン・チュウティ/慕容秋萩(ジャン・モンジェ)が彼を探し出し、リーとの仲を裂こうと家に火を放つ…。
アジコのおすすめポイント:
1977年にショウ・ブラザーズで映画化された古龍の人気武侠小説「三少爺的劍」。監督はチュー・ユエン(楚原)、主人公の三少爺を演じたのは、当時俳優としてデビューしたてのイー・トンシンでした。そのイー・トンシンがツイ・ハークと組み、監督として新たに映画化したのが本作です。さすが、イー・トンシンとツイ・ハークのコンビだけあって、ドラマとアクションが見事噛み合っております。ただのソード・アクションだけではありません。死を前にして非道な人生を悔やみ、善人として生きようとする剣士と、剣の世界に嫌気がさして剣を捨てた剣士の悲哀。愛する人に裏切られた女の恨みと情念。さらにその女に横恋慕していた男の悲しみなどがうまく描かれ、闘いのシーンでありながら涙を誘われます。ケニー・リンもよかったけど、このピーター・ホーはいい。すっかり大人になったんですね。
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