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ラオス 竜の奇跡

製作:森卓
監督:熊沢誓人
脚本:守口悠介、熊沢誓人
撮影:金子正人
編集:小堀由起子
美術:Surawat Chupol
録音:志満順一
音楽:栗コーダーカルテット
出演:井上雄太、ティダー・シティサイ

2017年/日本・ラオス
日本公開日/2017年6月24日
カラー/シネスコ/5.1ch/112分
字幕:
配給:アークエンタテインメント
(c)ジャパンーラオス・クリエイティブ・パートナーズ

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ラオス 竜の奇跡(Saynamlai)

story

 1960年、オリンピック景気に沸く日本から、ダム建設調査のため、ラオスに渡った日本人がいた。測量技師の川井(井上雄太)は初の海外赴任。お守りの笛を持参し、現地ガイドと川を船で渡っていると、内戦の銃声が聞こえ、逃れようとした際に川に転落。そのまま行方不明になってしまう。

 2015年、経済発展が進むラオスの首都ビエンチャン。田舎暮らしの生活に嫌気がさし、父親と喧嘩して都会へ出てきたノイ(ティダー・シティサイ)が、友人たちと合コンで盛り上がっている。憧れた生活ではあるものの、どこか都会に馴染めないでいるノイ。翌日、友人がノイに気のあるエークを伴い、ダブルデートでナグムのダム観光に誘いに来た。

 当日、ダム近くの川辺で休憩する一行。エークに興味のないノイは、ひとりで川にかかる橋を渡り始める。その川には、毎年10月になると「竜神の火の玉」が天に昇るという伝説があった。水面にさざ波がたち始める。橋を渡って向こう岸に着き、森を歩いているうち道に迷ったノイは、川岸に人が倒れているのを見つける。

 ノイが見つけたのは、遭難した川井だった。少年ティンと父親に助けられ、二人はティンの家族が住む村へとやって来る。そこは水に棲む龍神伝説を信仰する村だった。ティンの家族に歓迎された二人は、その村にしばらく滞在することになる。橋が流されてしまったのだ。ノイは自分が1960年にタイムスリップしてしまったことに気づく。

 嫌っていた田舎暮らしにノイは戸惑うが、ラオスのことを何も知らずにやって来た川井は生活を楽しんでいた。のんびりとした伝統的なラオスの村落で、二人は次第に心が癒され、川の流れ(サーイ・ナームライ)のように生きる村民たちと交流を深めていく。

アジコのおすすめポイント:

2001年よりラオスに移住したラオス通の森卓氏がプロデューサーとなり、ラオスと日本の橋渡しになるようにと作りあげた初の日本・ラオス合作作品です。監督・脚本は『天国からのエール』(11年)で監督デビューした熊沢誓人。海を持たず川に寄り添って生きるラオス社会。川や森に囲まれてのんびりと生きる村人たちの素朴な暮らしが描かれ、おそらく都会では失われつつある伝統文化の大切さも盛り込まれています。内戦時とあり、危機に面した時の村の団結力も強く、ほどよい距離で互いを見守り合う人間関係ができあがっています。特に興味深かったのは、相手のことを思って願いを込めた糸を結び合う伝統行事。糸だらけになりながら微笑む人々は素敵です。旅人にもやさしいラオスの人々。アクション映画の影響で危険地帯というイメージが強かったラオスの、美しい側面を味わうことができます。サバイ、サバイ。


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