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草原に黄色い花を見つける

監督:ヴィクター・ヴー
脚本:ヴェエト・リン、ヴィクター・ヴー、
   ドアン・ニャット・ナム
撮影:グエン・クリン
音楽:クリストファー・ウォン、ギャレット・クロスビー
出演:ティン・ヴィン、チョン・カン、タイン・ミー、グエン・アイン・トゥー、カイン・ヒエン、マイ・テー・ヒエップ、ミー・アイン

2015年/ベトナム
日本公開日/2017年8月19日
カラー/2.35:1/ドルビーデジタル/103分
字幕:大西公子
配給:アルゴピクチャーズ
(c)2015 Galaxy Media and Entertainment
2015年 西安シルクロード国際映画祭 作品賞
2016年 トロント国際児童映画祭 審査員賞
2016年 米国アカデミー賞 外国語映画部門ベトナム代表


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草原に黄色い花を見つける
(Toi thay hoa vang tren co xanh/Yellow flowers on the green grass)

story

 1989年。ベトナム中部にある農村。ティエウ(ティン・ヴィン)とトゥオン(チョン・カン)は仲のよい兄弟で、いつも一緒に遊んでいる。活発で乱暴なところのある兄ティエウに比べ、弟のトゥオンは本を読むのが好きな優しい少年で、村に伝わる虎とお姫様の物語を信じている。いつもやって来るヒキガエルを「小さいおじさん」と呼んでかわいがっていた。

 ある夜、兄弟はおつかいを頼まれる。途中にある伝説の虎が潜んでいそうな大木の前を通り過ぎると、弟はいつもお話をしてくれるダンおじさん(グエン・アイン・トゥー)に頼まれた手紙をヴィンさん(カイン・ヒエン)に渡すため、ニャン先生(マイ・テー・ヒエップ)の家を訪ねることに。ティエウは一人でピーナッツを買いに、ムーン(タイン・ミー)の家を訪れる。ムーンはティエウが気になっている女の子だ。

 ランタン祭りの夜、ムーンの家が火事になる。近くにある鍵のかかった小屋から発火したらしい。そこにはハンセン病にかかったムーンの父が隔離されていた。幸い父親は助かり、母親と一緒に町の病院へ行くことに。夜、ひとりきりになったムーンの家に、ティエウが母の作ったお弁当を持ってやって来る。その夜はティエウがムーンに付き添い、心細い彼女を守るのだった。二人には次第に恋心が芽生えていた。

 ムーンの家が売られることになり、町に行っているムーンの両親が落ち着くまで、彼女はティエウの家で暮らすことになる。ムーンを意識し過ぎて落ち着かないティエウ。天真爛漫なトゥオンも一緒に遊ぶようになり、ムーンはトゥオンと親しくなっていった。次第に弟への嫉妬心がこみあげるティエウは、ついに取り返しのつかないことをしてしまう…。

アジコのおすすめポイント:

ベトナムから『小さな恋のメロディ』のような愛らしい作品が登場しました。原作は人気作家グエン・ニャット・アインのベストセラー小説。1980年代後半のベトナム中南部にある貧しい村を舞台に、仲の良い兄弟と幼馴染みの少女との淡い初恋が描かれています。しかし、それだけではありません。映画の冒頭に出てくるのは、怪我をした弟を台車に載せ、父親と共に必死で台車を走らせる兄の姿。これは、兄弟の物語でもあるのです。前半の初恋ストーリーを経て、洪水が起こったり、伝説のお姫様が現れたり…さらに、その先にもう一つのストーリーが隠されています。黄色い花に導かれて、兄弟がたどった先にあるものとは? 監督はアメリカに生まれ、ロスで映画を学んだヴィクター・ヴー。ベトナム育ちではないものの、原作にあるパーソナルなテーマに惹かれて映画化を決意。80年代のベトナムを描くにあたり、両親や当時のことを知る人たちにリサーチを重ね、当時のベトナムの農村地帯を再現したのでした。人気子役のティン・ヴィン、チョン・カン、タイン・ミーを主演に描かれた本作は、社会現象となる大ヒットを記録。アカデミー賞外国語映画賞のベトナム代表に選ばれ、世界の映画祭でも高い評価を受けています。国や時代は違えど、どこか懐かしい田園風景や草原、小川を見て、幼い頃の記憶や初恋、兄弟姉妹との思い出などが蘇るかもしれませんよ。

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