わたしたち(わたしたち/The World of Us)
story
小学校に通うソン(チェ・スイン)は10歳。同級生から仲間外れにされ、いつもひとりぼっちだ。体育のドッジボールでもすぐにボールをあてられ、真っ先にアウトにされてしまう。女子のリーダー格で優等生のボラ(イ・ソヨン)から誕生パーティの招待カードをもらい、得意の手芸でミサンガを作って行くが、カードに書いてあったのは嘘の住所だった。
仕事で忙しい両親には何も話していない。4歳の弟ユン(カン・ミンジュン)は、いつも喧嘩ばかりして生傷が絶えず、ソンははらはらしているが、本人はまったく気にしておらず楽しそうだ。弟の世話は焼くけど、自分のことは黙って堪えている。ソンはそんな女の子だった。
夏休みの終業式の日。掃除当番を押し付けられ、居残って掃除をしていたソンは、新しい学校を見に来た転校生のジア(ソル・ヘイン)と出会う。そして、夏休みに偶然再会した二人は急速に親しくなり、互いの家に遊びに行くほどになっていった。裕福だが両親と離れ、祖母の家に預けられているジア。ジアはソンがくれたミサンガを気に入っていた。
ところが、ジアが通うことになった学習塾にはボラがいた。ジアはボラと親しくなり、新学期を迎える。ソンはジアの態度が変わってしまったことに気づく…。
アジコのおすすめポイント:
小学生の頃が思わず懐かしくなる、10歳の少女たちの物語です。核となっているのは、いわゆる「いじめ」。主人公の少女はかつて仲良しだった友だちからいじめにあっており、それに気づかぬふりをしてやり過ごしています。弟の面倒はしっかり見る気丈なお姉ちゃんなのに、自分のことは押さえ込んでいる。そこに現れたのが、同じく孤独を抱えている転校生。二人は意気投合して親友になったはずなのに…。実は彼女には別な事情があり、最後に二人は自分の殻を破って一歩進もうとする。希望のあるエンディングが爽やかです。ソル・ヘインとイ・ソヨンはドラマでもお馴染みの名子役ですが、主人公を演じたチェ・スインはニューフェイス。心の動きと共に変わる表情をカメラがうまくとらえていて、強い印象を残します。そして、無邪気な弟の名言が、姉にスイッチを入れてくれる。さて、それは何でしょう? 監督は名匠イ・チャンドン監督の教え子で、中学・高校で映画を教えながら、短編を発表している女性監督ユン・ガウン。繊細な本作で見事な長編デビューを飾っています。
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