欲望の翼(阿飛正傳/Days Of Beign Wild)
story
サッカー競技場の売店で働くスー・リーチェン(マギー・チョン)のところに、毎日同じ時刻にやって来る男がいた。「今夜、夢で会おう」と甘い言葉を囁く彼はヨディ(レスリー・チョン)。ある日、彼は自分の腕時計をさして、リーチェンに1分間だけ見るよう言う。
「1960年4月16日、午後3時1分前の1分間、君は俺といた。この1分を忘れない。君とは1分の友達だ」以来、1分が2分になり、1時間になり、二人はつき合い始める。しかし、ヨディに結婚する意志がないことを知ると、リーチェンは去っていった。
ヨディには美しい母(レベッカ・パン)がいた。その母を苦しめた男に仕返しするため、殴り込んだナイトクラブで、ヨディはダンサーのミミ(カリーナ・ラウ)と出会う。勝気なミミは抵抗しながらも、奔放なヨディの魅力に惹かれていった。
一方、リーチェンはヨディが忘れられずにいた。荷物をとりに来たものの、ヨディの部屋に入れないでいるリーチェン。そんな彼女を助けたのは、見回りをしている警官のタイド(アンディ・ラウ)だった。彼は、ミミの存在を知って苦しむリーチェンの話し相手になってくれた。
ヨディは自分が養子だったことを知って以来、母を憎んでいた。ほんとうの母親のことを教えてくれないからだ。しかし、母が愛人とアメリカに渡ることになり、ついに実の親の情報を手にいれる。彼は親友のサブ(ジャッキー・チョン)にミミのことを託して、単身フィリピンへ旅立つ。
アジコのおすすめポイント:
男の世界を熱く描いたジョン・ウーやツイ・ハークに続き、お洒落な香港映画ブームの火付役となったウォン・カーウァイ監督の初期の名作『欲望の翼』が、デジタルリマスター版になってスクリーンに帰ってきました。日本では2005年に上映権が切れて以来、実に13年ぶりの上映です。世界の映画人に影響を与えたと言われる本作。今は亡きレスリー・チョンの代表作の1つでもあります。さらに、アンディ・ラウ、マギー・チョン、カリーナ・ラウ、ジャッキー・チョン、トニー・レオンと、若き日の豪華スター総出演も魅力。誰もが目的地へと辿りつけない青春の刹那を描いた傑作です。エンディングで流れるのは、妖艶豪快な歌姫だったアニタ・ムイによる「是這様的」(ザビア・クガートの「ジャングル・ドラム」)。あの頃の香港、あの時代の空気感が甦ります。ラテンミュージックに彩られたクリストファー・ドイルの美しい映像と共に、ぜひ大スクリーンで味わってください。
|