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人間機械

監督:ラーフル・ジャイン
脚本:ラーフル・ジャイン
撮影:ロドリゴ・トレホ・ヴィラヌエバ
録音:エイドリアン・バウマイスター
編集:ヤエル・ビトトン、ラーフル・ジャイン
サウンドデザイン:スミト ”ボブ” ナート
カラリスト:グレゴール・プフナー
出演:グジャラートの繊維工場で働く人々、経営者

2016年/インド
日本公開日/2018年7月21日
カラー/デジタル(DCP)/71分
字幕:岡崎真紀子
配給:株式会社アイ・ヴィー・シー
配給協力:ノーム
(c)2016 Jann Pictures, Pallas Film, IV Films Ltd
2017年 テッサロニキドキュメンタリー映画祭
 ギリシア議会ヒューマンバリュー賞
 Fipresci賞/国際審査委員賞
2017年 サンダンス映画祭
 ワールドシネマドキュメンタリー 審査員特別賞
2017年 国際ドキュメンタリー協会
 撮影賞(ロドリゴ・トレホ・ヴィラヌエバ)
2017年 チューリッヒ映画祭
 ドキュメンタリー国際長編部門 最優秀賞
2017年 クリチバ国際映画祭(Olhar de Cinema)
 芸術貢献賞部門 最優秀作品賞
2017年 ムンバイ映画祭 シルバー・ゲートウェイ賞
2017年 英国ドキュメンタリー グリアソン賞
 ドキュメンタリー国際部門 最優秀賞

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人間機械(Machines)

story

 インド北西部のグジャラート州にある巨大な繊維工場では、機械が発する大音響のもとで、様々な人たちが働いている。火の粉にまみれながら、ひたすら炉に火種をくべる男。プリント模様を施すラインで、大きな枠に正確に生地を張っていく者たち。染料をこね続ける男。染料の入ったバケツを運ぶ男たち…カメラは迷路のような工場内部を自在に進んで行く。

 出稼ぎの男たちに混じって、幼い少年も働いている。生地が絡まないように抑える簡単な仕事を任されているが、何度も眠りこけている。苛酷な現場で12時間の長時間労働。疲れた者たちは色とりどりの布地の山の上に身を投げ出し、死んだように深い眠りに落ちる。

 少年は早く技術を覚えて、もっと待遇のよい職場へ移ることを考えている。だが、大人の男たちは皆、不満を抱えている。労働条件の改善を望んでいるが、組合を作ることができないのだ。上から睨まれた者は密かに消されるという。

 巨大な工場の中で、大量の布地に埋もれながら働く浅黒い男たちの姿を、カメラは高精細・高解像度で記録していく。苛酷でありながら圧倒的に美しい映像と機械の音。観客はあたかも自分がそこにいるかのような体験に包まれる…。

アジコのおすすめポイント:

インドの巨大な繊維工場を舞台に、そこで働く人々の姿を精緻に写し取ったドキュメンタリーです。監督は5歳の頃、祖父が所有していた繊維工場で遊んでいたというラーフル・ジャイン。カリフォルニア芸術大学で映画とビデオを学び、美術学の学士号を持つ彼は、現在も修士課程に在学中。本作が長編デビュー作となっています。「カメラを介すことにより、この目の高さからシンプルに見えているものを明らかにしたい」と語る監督。自身は経営者側の人間ですが、撮影に入る2ヶ月前からカメラを持たずに労働者たちと過ごし、皆がカメラを意識しない環境を作ったとか。そのかいあって、皆ありのままの姿をさらし、「お前は自分たちに何をしてくれるのか?」と問い詰められることも。「じっくりと時間をかけながら、見たくないもののいくつかを直視することを目指した」という監督による映像は、まさに絵画のような美しさを醸しています。圧倒的な映像美と音響で見せつけられる社会の歪みに向き合ってみてください。


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