SPL 狼たちの処刑台(殺破狼・貪狼/Paradox)
story
香港警察のリー刑事(ルイス・クー)は、自動車事故で妻(ミッシェル・サラーム)を亡くして以来、一人娘ウィンチー(ハンナ・チャン)を大切に育ててきた。ところが、ウィンチーはまだ15歳にもかかわらず妊娠し、相手の男(ユエン・ホーユン)と結婚したいと言う。リーはその青年を淫行容疑で逮捕。ウィンチーは堕胎を余儀なくされ、傷心のままタイの友人を訪ねて旅立つ。
数日後、ウィンチーの友人ジェニー(アイリス・ラム)から、ウィンチーがいなくなったと連絡が入る。リーはタイのパタヤに乗り込み、地元警察のチュイ(ウー・ユエ)とバン(ケン・ロー)に捜査を依頼する。チュイの同僚タク(トニー・ジャー)はリーと挨拶をした時に不吉なイメージを抱き、身につけていたお守りをチュイに渡した。
聞き込みや監視カメラの映像からある男が浮かびあがるが、ただの盗撮魔だった。身元不明の少女の遺体が海で見つかるが、ウィンチーではなかった。リーは必死の思いで独自に捜査を続ける。その後、バンに暴行された売春婦のシウマン(ジャッキー・チャイ)をリーが助け、思いがけない証言を聞き出す。同じ頃、バンの車載カメラの映像を見たチュイは驚いていた。ウィンチーが写っていたのだ。
街では大統領戦に立候補するアジズ市長(ソンポブ・ベンジャティクル)が心臓病で倒れ、側近のチェン(ラム・カートン)が心臓移植のドナーを探していた。彼は警察がらみの臓器密売組織を牛耳るサーチャ(クリス・コリンズ)のもとを訪れ、若くて健康な心臓を依頼する。チャイ局長(ヴィタヤ・パニスリンガム)は娘との結婚を控えたチュイを自制させ、リーも始末させようと考えていた。
バンを締め上げたリーは、彼の口からサーチャのことを聞き出す。ウィンチーはその男のところに囚われているらしい。リーはチュイとサーチャの食肉工場を訪れるが、サーチャは逃亡。チュイが後を追い、近くにいたタクも一緒になって追いかける。激しい攻防戦の中、後一歩のところまで追いつめるのだが…。
アジコのおすすめポイント:
『SPL/狼よ静かに死ね』『ドラゴン×マッハ!』に続くシリーズ第3弾です。「殺破狼」というのは占星術によると、成功するか失敗するかはその人次第という極端な星巡り。前2作が七殺星(アウトロー=ドニー・イエン)、破軍星(独立独歩=トニー・ジャー)であれば、本作はオリジナルタイトル通りの貪狼星で「欲望」にまつわる因縁バトルとなっています。ルイス・クー演じる父親の娘に対する愛情が極端に強かったため、娘との確執が発端となって彼を翻弄していくのです。この不吉を感じ取ったトニー・ジャーの活躍が素晴らしいのですが、ゲスト出演ゆえ残念な結果に。ウー・ユエがかなり頑張りますが、彼も上司の娘との結婚を控えて難しい選択を迫られます。次第に焦燥していく父を演じるルイス・クーはまさに、金像奨影帝にふさわしい熱演ぶり。さらに不気味な黒幕を演じるラム・カートン、出番は少ないのですが強烈な印象を残します。因果応報が男たちの運命を狂わすシリーズ最終章。監督は第1作と同じウィルソン・イップ。サモハンによるアクションシーンと共にお楽しみください。
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