妻の愛、娘の時(相愛相親/Love Education)
story
母の死を看取ったフイイン(シルヴィア・チャン)は、母を父と同じ墓に入れるため、田舎にある父の墓を自宅のそばに移そうとする。夫シアピン(ティエン・チュアンチュアン)や娘ウェイウェイ(ラン・ユエティン)と共に、父の故郷を久しぶりに訪れるが、父の最初の妻ツォン(ウー・イエンシュー)や、彼女に同情した村人たちに激しく抵抗され、大きな波紋を巻き起こしていく。
ツォンはかつて突然家を出た夫の帰郷を一途に待ち続け、一人暮らしをしていた。一方、フイインは自分の母こそが本妻だと証明するため、両親の結婚証明書を発行しに行くが、都市開発によって役所が移転したと言われ、なかなか手に入れることができない。
フイインは長年務めた学校教師の職をもうすぐ定年退職することも相まって、思い通りに事が進まずイライラを募らせていく。シアピンはそんな妻をやさしく見守り、彼女のために定年祝いのメッセージカードを買いに行ったりと陰ながら支えようとするが、勤め先の自動車教習所の生徒ワンさん(レネ・リウ)との仲を疑われてしまう。
ウェイウェイはミュージシャンの恋人アダー(ソン・ニンフォン)から北京に一緒に行こうと言われ、迷っていた。そんな時、彼女が働いているテレビ局が彼女の家のお墓騒動に目をつけ、取材しようとする。ウェイウェイはアダーと共にツォンのところへ足しげく通い、昔話を引き出していくうちに、次第に心を通わせていく。
ウェイウェイは家を出てアダーと暮らし始めるが、アダーの昔の恋人チュウイン(タン・ウェイウェイ)が娘を連れてやってくる。歌手をめざして北京へ出る途中、アダーを頼ってきたのだ。アダーのことを「パパ」と呼ぶ娘に不信感を抱いたウェイウェイはアダーと喧嘩し、ツォンのところへ行ってしまう…。
アジコのおすすめポイント:
母と自分と娘、3世代の女性の人生を時代の移り変わりと共に描いたヒューマンドラマです。監督・主演はシルヴィア・チャン。昨年の釜山国際映画祭ではクロージングを飾り、東京フィルメックスではオープニング作品に選ばれた本作。中華圏で数々の監督賞に輝いています。注目したいのは夫役を演じる巨匠ティエン・チュアンチュアン監督。『青い凧』(93)『呉清源 極みの棋譜』(06) などで日本でもお馴染みですが、監督の温かい人柄に惹かれたシルヴィア・チャンが勇気を出してお願いし、出演になったとか。演技でない自然なスタイルが実によい味を出しています。いろんな名優がチョイ役で出ているところもポイント。運転が下手なワンさんを演じるレネ・リウも笑えます。さて、この騒動は一体どうなるのか? 家族たちは、恋人たちは、どうなるのか? ぜひ、劇場でご覧ください。
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