ザ・フォーリナー/復讐者(The Foreigner)
story
ロンドンの片隅でレストランを営むクワン・ノク・ミン(ジャッキー・チェン)は、娘のファン(ケイティ・ルング)がダンスパーティに着ていくドレスを買うため、車を急がせていた。ところが、娘がブティックに入った直後、大爆発が発生。多数の犠牲者と共に娘は亡くなってしまう。
直後に犯行声明が新聞社に送られる。北アイルランドの過激派組織UDIによる銀行を狙った無差別テロだった。その頃、北アイルランドの副首相リアム・ヘネシー(ピアース・プロスナン)は首都ベルファストで若い愛人マギー(チャーリー・マーフィ)とベッドにいた。閣僚のキャサリン(リア・ウィリアムス)や妻のメアリー(オーラ・ブラディ)からの連絡でヘネシーはやっと事件を知る。
ヘネシーはかつてUDIの闘志だったが、今は副首相としてイギリス政府との和平協定に尽力していた。彼は事件の影響を抑え込むため政治逃亡犯の恩赦を提案。さらに幹部を招集し、爆弾を提供し犯行グループに関与した人間を見つけるため、罠をしかける。
一方、クワンは最愛の娘を失って絶望の淵にいた。捜査担当のブロムリー警視(レイ・フィアロン)を何度も訪ね、犯人の名前を教えてほしいと嘆願するが、捜査は難航していた。3週間が経った頃、テレビでヘネシーを見たクワンは、彼なら犯人を知っているはずと予想。店をラム(リウ・タオ)に譲ってアイルランドへ乗り込む。
ヘネシーは執拗に訪ねて来るクワンに困惑。適当にあしらわれたクワンは「気が変わりますよ」と告げ、オフィスのトイレを自家製爆弾で爆破して圧力をかける。驚いたヘネシーは部下にクワンを捕らえさせようとするが、60代のクワンは特殊な技術と超人的な身体能力を持っていた…。
アジコのおすすめポイント:
ロンドンと北アイルランドを舞台に、最愛の娘を殺したテロリストを追う中国人の男と、元過激派組織にいた副首相を巡る人間関係が複雑に交錯して進む硬派なサスペンス・アクションです。『007/ゴールデンアイ』(95)でピアース・プロスナンを、『007/カジノ・ロワイヤル』(06)でダニエル・クレイグをジェームズ・ボンド役に起用して注目されたマーティン・キャンベル監督が、濃密でリアルかつシリアスな、見応えたっぷりのハードボイルド作品に仕上げています。ほぼ同年代の主演二人も実年齢が演技に深みを持たせており、特に笑いを封印したジャッキーの熱演は見事です。原作はスティーヴン・レザーの「チャイナマン」。元特殊部隊出身という役柄ゆえ、ジャッキーならではのアクションシーンも出てきますが、老いがほどよくプラスされて自然。クリフ・マルティネスの音楽も素晴らしく、警察役のレイ・フィアロンも印象的で、結末を粋なセリフで締めてくれます。最後まで映画に引き込まれる必見の作品です。
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