クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅
(The Extraordinary Journey of the Fakir)
story
インド。少年院に収監されることになった3人の少年が落ち込んでいると、一人の青年が現れる。彼の名前はアジャ(ダヌーシュ)。彼が語り始めた体験談は、まさに奇想天外な物語だった。
働き者の母(アムルータ・サント)と暮らす少年アジャは腕白な少年だった。父親は不明だがパリに行けば会えるという。自分が貧乏だと知ったアジャは魔術師にマジックを習って荒稼ぎ。母親をパリへ連れて行きたかったのだが、夢を叶える直前に母が他界。借金取りに現金も奪われ、ニセ札と母の遺灰を持ってフランスへ飛び立つ。
アジャが最初に向かったのは、少年時代からカタログで魅了されていた家具がたくさんある有名な家具センターだった。そこでアメリカ人女性のマギー(エリン・モリアーティ)と出会い、一目惚れ。翌日、エッフェル塔の前で会う約束をするが、宿代わりにクローゼットで眠っている間に、なんとイギリスへ搬送されてしまう。
搬送トラックにはリビア難民のウィラージ(バーカッド・アブディ)たちも隠れていた。彼らと一緒に脱出をはかるも、警察に捕まってパスポートはシュレッターに。イギリスは難民の受入れを拒否し、アジャはウィラージたちとスペインへ移送され難民として働かされる。夜中に抜け出したアジャは、大きな衣装ケースに忍び込む。それは大女優ネリー(ベレニス・ベジョ)のものだった。
チャーター機でイタリアへ運ばれたアジャは、ネリーと知り合い貴重な時間を過ごす。隠れていた時、師匠の教えを書いていたシャツがネリーの機転で高額なアート作品として売れ、200万ユーロもゲット。ネリーの復縁も助けたアジャは、気球に乗ってフランスを目指すのだが…。
アジコのおすすめポイント:
インドのムンバイからスタートする、一風変わった冒険ファンタジーです。苦労してお金を貯め、憧れのパリへ到着。大好きな家具店で運命の女性とも出会ったその夜から、イギリス、スペイン、イタリア、リビア…と各地を回るハメに。その過程で出会った人々との触れ合いが、彼の人生観を変えていく成長物語になっています。原作はまさに、多様な人生を送りながらスマホに小説を書き溜めたロマン・プエルトラスの「IKEAのタンスに閉じ込められたサドゥーの奇想天外な旅」。脚本にも参加しており、カナダ出身のケン・スコット監督(『人生、ブラボー!』)が映画化しました。主演はインド映画界で監督や歌手、プロデューサーも務めるダヌーシュ(ラジニカーントの娘婿です)。物語と同じく共演者も国際色豊かで、アルゼンチン出身のベレニス・ベジョ、アメリカのエリン・モリアーティ、ソマリア出身のバーカッド・アブディ、フランスのジェラール・ジュニョらが並んでいます。思いがけない旅から主人公が得た教訓とは、そして冒頭の少年たちはどうなるのか?気になる恋の行方は?…ぜひ、スクリーンでお確かめください。
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