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三人の夫

監督:フルーツ・チャン
脚本:ラム・キートー、フルーツ・チャン
撮影:チャン・カーシュン
編集:ティン・サムファ
美術・衣装:カイ・フォンメイ
視覚効果:タン・トンミン
録音:シュー・ワイホイ
出演:クロエ・マーヤン、チャン・チャームマン、チン・マンライ、マク・キョン、タン・ユエピン

2018年/香港
日本公開日:2019年7月12日
カラー&モノクロ/101分/R15+
字幕:
配給:ファインフィルムズ
(c)Nicetop Independent Limited
2019年 香港映画監督協会賞 主演女優賞(クロエ・マーヤン)
2019年 香港電影金像奨 主演女優賞(クロエ・マーヤン)
2019年 香港映画批評家協会賞 作品賞
 監督賞(フルーツ・チャン)/主演女優賞(クロエ・マーヤン)
2019年 香港映画脚本家協会賞
 主演女優賞(クロエ・マーヤン)


p2

p3

三人の夫(三夫/Three Husbands)

story

 若いメガネ(チャン・チャームマン)には恋人がおらず、悪友たちと深{土川}へ初めて女を買いに出かける。ところが、目的を果たす前に警察の一斉摘発に遭ってしまう。悶々とするメガネは、巷で評判となっている売春船の噂を聞きつけ、男たちの行列に加わった。船は漁船で、父親と年老いた漁師の夫(チン・マンライ)が、なんと娘、そして妻に売春をさせているのだった。

 その女シウムイ(クロエ・マーヤン)は、豊満な肉体と底なしの性欲を持っていた。精神障害があって言葉は自由に話せないが、船には彼女が生んだ赤ん坊もいて、母親の顔になるときは穏やかだった。純情なメガネはシウムイに夢中になり、次第に男を獲り続ける彼女に同情。結婚して幸せな家庭を築こうと決意する。

 皆に祝福された結婚式の後、シウムイと赤ん坊はメガネのアパートに住むことになる。狭いアパートにはメガネの母親も住んでいた。シウムイの性欲は陸にあがっても旺盛で、昼夜を問わずセックス三昧の日々。姑と赤ん坊はヘッドホンを付けて過ごすはめに。幸せな新婚生活ではあったが、さすがに若いメガネも身がもたなくなる。

 仕事にも影響して職を失ったメガネは、やむなくシウムイの父親と前の夫に相談。シウムイは欲求不満の発作が起きると奇声を発し、手がつけられない。医者に見せたところ、シウムイはなんと類い稀なる名器の持ち主だという。やむなく、メガネはシウムイと船に戻り、再び客を取らせることにするのだが…。

アジコのおすすめポイント:

『メイド・イン・ホンコン』で知られるフルーツ・チャン監督が、『ドリアン・ドリアン』(2000年)『ハリウッド★ホンコン』(2001年)に続く娼婦三部作の完結編として完成させた作品です。昨年の東京国際映画祭のコンペティション部門でプレミア上映された本作は、その強烈な内容で話題となりました。香港、台湾では今年の春に一般公開され、体重を18キロも増やして挑んだというまさに体当たりの演技を見せた主演女優のクロエ・マーヤンが多数の主演女優賞に輝いています。昨年のゲスト来日時では映画とまったく違う姿だった彼女、ロウ・イエ監督の『天安門、恋人たち』(06年)や、昨年の東京フィルメックスで上映されて話題になり、日本での公開が控える『ロングデイズ・ジャーニー、イントゥ・ナイト』にも出演しています。それはさておき、本作です。実は香港の漁師に伝わる人魚伝説がベースとなっており、海、陸、空の3章構成で描かれます。ずっと香港にこだわり続け、移り変わりゆく香港を描いてきたのがフルーツ・チャン監督。本作でもシウムイを人魚に見立て、どんなことがあっても変わらない旺盛な欲望と生命力を持つ姿に「香港」の街を託しているのかもしれません。


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