パラダイス・ネクスト(亡命之途/Paradise Next)
story
台北。牧野(妻夫木聡)は彼を殺そうとする追手から逃げていた。なんとか追手を巻いて、命からがら逃げ切った彼は、意気揚々と台北の繁華街を歩いていく。
島(豊川悦司)は台北に潜伏していた。1年前、守らなければならなかった大切な女性シンルー(ニッキー・シエ)が、パーティ会場で死んでしまったのだ。ヤクザの加藤(大鷹明良)は馴染みの台湾のボス、ガオ(マイケル・ホアン)に島を預け、台北に潜伏させていたのだが、島はその出来事が忘れられずにいた。あれは事故だったのだろうか?
そんな島がある夜、屋台で食事をしていると、牧野が親しげに話しかけてきた。「ねえ、俺のこと覚えていない?」島と同じ麺を注文し、美味そうに食べる牧野。彼は島の名前を知っていた。「俺はあんたの救世主なんだ」と話す彼は、1年前のパーティ会場にいたという。「あれは事故なんかじゃない」真相を知っているという牧野を島は無視できなかった。
眠っている間に縛られていた牧野は、島のところにやってきたガオたちと出会う。縄を解かれ、地元の怖面な連中たちとの会食にも参加した牧野は有頂天だ。だが、島は殺し屋の影を感じる。ほどなく加藤から連絡があり、島は牧野殺しを命じられた。ガオに相談した島は「加藤には不気味なところがある」と、時間稼ぎのため東へ逃げるよう勧められる。
二人は花蓮を目指して車を走らせた。ところが、食事のために立ち寄ったバーで、シャオエン(ニッキー・シエ)という女性と出会う。彼女は日本語が話せた。そして、シンルーとそっくりだった。牧野は密かに驚き、島は衝撃を受けていた。用意されていた家が使えなかったため、二人はシャオエンが住む大きな屋敷に泊めてもらうことになる…。
アジコのおすすめポイント:
オール台湾ロケで描かれるサスペンスノワールです。守っていた愛する(多分)女性を死なせてしまい、台北に逃れて潜伏している謎の男。その事件の真相を知っていると近づいてきた追われる男。そして逃亡の旅で出会った死んだ女性にそっくりの女。そこに彼らを追う殺し屋の影がつきまとうという展開なのですが、スリリングというよりはスタイリッシュで、台湾ならではの南国風情やゆったりした空気感、陽気さも相混じり不思議な感覚に。監督はホウ・シャオシェンやジャ・ジャンクー、ユー・リクウァイなど、アジアの巨匠たちに音楽を提供している半野喜弘。これが2作目の長編監督作品で、脚本・音楽も担当しています。坂本龍一もクラシック風のテーマ曲を提供していますが、台湾原住民の歌を入れてみたり、ウォン・カーウァイ風なラテンミュージックを入れてみたりと、音楽は盛り沢山。反面、説明が少ないので展開がわかりにくい部分もありますが、映像は楽しめます。主演は妻夫木聡と豊川悦司。台湾からニッキー・シエ。マイケル・ホアンやカイザー・チュアンもいい味を出しており、役者を楽しむという見方もできます。
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