logo

人間の時間

監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
撮影:イ・チョニン
照明:イ・ユンギ
編集:キム・ヨンタク
美術:キム・ビョンハン
衣装:イム・ジュヒュン
特殊メイク:イ・ジュファン
音楽:パク・イニョン
出演:藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、イ・ソンジェ、リュ・スンボム、ソン・ギユン、オダギリジョー

2018年/韓国
日本公開日:2020年2月28日
カラー/1.85:1/DCP/122分/R18
字幕:根本理恵
配給:太秦
(c)2018 Kim Ki-duk Film.

poster

人間の時間(Human, Space, Time and Human)

story

 休暇へ向かう人々を乗せ、第二次世界大戦で使用された軍艦「デストロイヤー」が出航する。船には様々な人たちが乗っていた。新婚旅行中のカップル、学生、娼婦、ギャングたち、そして大統領候補の有名な議員(イ・ソンジェ)とその息子(チャン・グンソク)などなど。

 ギャングのボス(リュ・スンボム)は議員に取り入るため、勝手に警護を申し出る。権力を身につけた議員はまんざらでもなさそうだが、真面目で正義感の強い息子はそんな父親を嫌っていた。議員には特別室が用意され、食事も特別待遇だった。それを見た他の乗客たちが不平を言うが、ギャングたちの暴力で抑えられる。

 大海原の上で、人々は酒、ドラッグ、セックスに溺れ、娼婦や詐欺師も商売に励んでいた。ところが、真面目な日本人カップルの男性(オダギリジョー)が注意したことでトラブルに巻き込まれ、殺されてしまう。彼氏のいない間に女性(藤井美菜)はギャングに襲われ、彼女に目を付けていた議員の部屋で眠らされた。

 船の上には掃除をするように土を集めている謎の老人(アン・ソンギ)がいた。大勢の男たちにレイプされた女性は、その老人に助けられる。彼は一部始終を見ていたのだ。女性は妊娠しており、老人から自殺を止められる。彼は船の中心に不思議な菜園を作っていた。

 翌朝、船は空中に浮かんでいた。その日から、船では生き残りをかけた壮絶な闘いが始まっていく…。

アジコのおすすめポイント:

世界三大映画祭を制覇し、近年では『殺されたミンジュ』『The NET 網に囚われた男』など政治的メッセージを持つ作品も発表している韓国の異端児キム・ギドク監督の最新作です。2018年のベルリン国際映画祭パノラマ・スペシャル部門招待作品としてプレミア上映され、賛否両論を巻き起こした話題作でもあります。注目すべき点は、豪華キャスト。常連俳優たちの他に、人気スターのチャン・グンソクが出演。日本からも藤井美菜が参戦し、この二人が重要な主役を演じています。名優アン・ソンギも鍵を握る老人役でギドク作品に初出演。描かれているのはディストピアで、船の上は人間社会の縮図。悪の側面が大きく、善を象徴するグンちゃんも揺らぎます。ファンにはショックかもしれませんが、俳優としての脱皮にはなったことでしょう。監督曰く「人間の限界を突破し、母なる自然の本能と習慣に答えを見つけた」という本作は、監督が残酷で無情な人間を憎むのをやめるために作ったとのこと。その分、私的であり、これまでの作品に比べると単純な作りになっています。評価が分かれる作品ですが、これも人間ギドクの発露と言えるでしょう。公式サイトのツイッターに様々な監督インタビューが出ているので、ぜひご参照ください。


p2p3p4

p5p6p7

p8p9p10

▼公式サイト