タゴール・ソングス(Tagore Songs)
story
「タゴール・ソングは心に訴えかける。歌詞がどれもすばらしく、そしてメロディーが心をかきたてる」レコードコレクターが、1905年の歌をかけて紹介する。
ーもし 君の呼び声に誰も答えなくとも ひとりで進めー
インドのコルカタ(旧カルカッタ)。タクシーではタゴールが作ったインドの国家が流れ、運転手が歌い出す。街角ではベンガル人の女性がタゴールの歌を歌ってくれる。愛の歌だ。イベント会場でも、子どもや大人たちまで、いたるところでタゴール・ソングが親しまれている。
バングラデシュのダッカ。祝日にはタゴールが作ったバングラデシュの国家「我が黄金のベンガル」が歌われる。カメラはタゴール・ソングを子どもたちに教える歌手レズワナ・チョウドリ・ボンナを紹介する。
再びコルカタ。若者たちはタゴール・ソングを現代風にアップデートして楽しんでいる。ユーチューバーのクナルは「コルカタ・ビデオ」を通じてタゴール・ソングを紹介し、タゴールの哲学を届けたいと思っている。
コルカタのストリートで気を吐くラッパーたち。ダッカでは、バングラデシュのラッパーたちが自分たちをタゴールと重ねている。皆、タゴールの「ひとりで進め」に影響を受けているという。
路上生活をしていた子どもたちの保護施設「エクマットラ」。高校生ナイームはそこで育った。ミュージシャン志望のナイーム、そして日本に憧れるコルカタの大学生オノンナ、革命家からタゴール・ソングの先生となったオミテーシュとその愛弟子プリタ。タゴール・ソングに支えられた彼らの人生が交互に紹介される。
アジコのおすすめポイント:
「いまから百年後に わたしの詩の葉を 心をこめて読んでくれる人 君はだれか」インドの偉大なる詩人ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)は小説家、劇作家、音楽家、画家としても優れた業績を残しているアーティストです。アジコが大学生だった頃、このタゴールとガウディがちょっとしたブームでした。そんなタゴールの作った歌はなんと2000曲以上! ベンガルの自然や祈り、愛、喜び、悲しみを歌ったそれらは「タゴール・ソング」と呼ばれ、ベンガルの幅広い世代の人々に今も深く愛されています。メッセージ・ソングでありながら、普遍的な感情を歌っており、例えばビートルズのような感覚で若者にも親しまれているのかも。この素晴らしいドキュメンタリーを撮ったのは、東京外国語大学ヒンディー語専攻卒の佐々木美佳さん。在学中にベンガル文学に魅了され、ベンガル人が大好きなタゴール・ソングを卒論の研究テーマに選んだのがきっかけ。その魅力を探るうちに、タゴール・ソングとベンガル人の関係に焦点を当てるため、映画制作を決意。これが監督デビュー作となりました。東京も出てきます。タゴール・ソングを通してベンガル人の人々の心に触れてみましょう。
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