story
杭州市、富陽には悠久の大河、富春江が流れている。元代には黄公望がこの地に隠遁し、有名な「富春山居図」を描いた。はるか昔の秦代には孫権がここで呉を建国し、その子孫は今も龍門古鎮に住んでいる。しかし今、富陽地区は都市開発の只中にある。
顧(グー)家の家族がレストランに集まり宴会を開いている。家長である老母ユーフォン(ドゥー・ホンジュン)の誕生日を祝っているのだ。場所は長男ヨウフー(チェン・ヨウファー)が経営する「黄金大酒店」。次男ヨウルー(チャン・レンリアン)は漁師。三男ヨウジン(スン・チャンジエン)はダウン症の息子カンカン(スン・ズーカン)を一人で育てているが、借金まみれだ。母は末っ子の四男ヨウホン(スン・チャンウェイ)をラオシャオ(老小)と呼んで可愛がっているが、未だに独身だった。
停電と断水に見舞われながらも宴会は賑やかに続いていた。しかし、母が突然倒れて救急車で病院へ。脳卒中だった。大事には至らなかったが、認知症が進んでいる母の面倒をみなくてはならなくなる。長男夫婦はレストラン経営で忙しく、金銭問題を抱えていた。一人娘グーシー(ポン・ルーチー)の縁談で解決しようとするが、彼女は密かに教師のジャン(チュアン・イー)と付き合っている。
ヨウルーと妻アイン(チャン・グオイン)の家は移転計画地区にあり、今は漁船で暮している。一人息子ヤンヤン(ドン・チェンヤン)の結婚が決まり、夫婦は賠償金で息子の新居を購入するつもりだ。金の普請をして回っているヨウジンは借金取りに追われているが、イカサマ賭博で一儲けしようとしている。ヨウホンには見合いの話が進んでいた。
結局、母親はしばらく長男の家で暮らすことに。妻のフォンジュエン(ワン・フォンジュエン)は煩わしく思っているが、グーシーは優しく接し「好きな人がいるの」とジャン先生とのことを打ち明けるのだった。
アジコのおすすめポイント:
古の歴史と風光明媚な自然が豊かな富春江にある富陽を背景に、3年の歳月をかけて、ある大家族の物語を四季折々の風景と共に描いた人間ドラマです。一人でドキュメンタリーを撮っていたグー・シャオガン監督が北京電影学院で学んだ後、初めてクルーと組んで作り上げた、なんと長編デビュー作品。故郷・富陽の急激な変化に衝撃を受け、この変化を家族の物語を通して記録しています。ユニークなのはそのスタイル。この地を描いた水墨画「富春山居図」に着想を得て、長い絵巻物を展開していくような作品にしたかったとか。それが見事に功を奏し、流れるような1カット長回しのシーンがいくつも挿入されています。(一番長くわかりやすいのは水泳競争のシーン)台湾ニューウェイブに影響を受けたそうで、そのテイストはまさに、ジャ・ジャンクー監督の世界をホウ・シャオシェン監督の眼差しとエドワード・ヤン監督のストーリーテリングで紡いだような印象です。
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