太陽は動かない
story
日本の秘密組織「AN通信」のエージェントたちが、世界を股にかけて暗躍していた。彼らの心臓には起爆装置が埋め込まれている。そして、24時間ごとに定期連絡をしないと装置が起動。解除連絡をしなければ5分で爆死する。
ブルガリアの古いアパートに、エージェントの山下竜二(市原隼人)が囚われていた。彼を助けるために突入したのは、トップエージェントの鷹野一彦(藤原竜也)。アパートの外には相棒の田岡亮一(竹内涼真)が救出用のトラックで待機している。なんとか逃走したものの、山下の起爆装置が起動。執拗な追跡で解除申請が間に合わず、彼は異国の電話ボックスで爆死してしまう。
山下が握っていた情報とは? 司令塔の風間武(佐藤浩市)から、その鍵を握る男、中国の巨大エネルギー企業 CNOXの会長アンディ・ウォン(翁華栄)を探れと指令が届く。山下は彼の裏の組織に潜入していたのだ。
鷹野と田岡はウィーンへ飛び、アンディ・ウォンが参加するチャリティパーティに潜入する。アンディの側には国籍不明な謎の女AYAKO(ハン・ヒョジュ)が、そして鷹野のライバルである韓国人エージェントのデイビッド・キム(ピョン・ヨハン)も現れた。
浮かび上がったのは、次世代エネルギーの実用化に関する巨大利権。CNOXは日本の大手電機メーカーMETと組んで、次世代太陽光エネルギーの開発に乗り出していた。しかし、アンディ・ウォンはMETの技術を盗み出し、実用化の独占を企てていた。ところが、その極秘情報をめぐり、世界各国のエージェントや裏組織が争奪戦を繰り広げる…。
アジコのおすすめポイント:
通信会社を装った謎の組織「AN通信」で暗躍するエージェント鷹野一彦を主人公とする吉田修一の原作シリーズの映画化です。映画と同時にWOWOWでもオリジナルストーリーでドラマ「太陽は動かない -THE ECLIPDE-」(全6話)が、同スタッフで作られています。政治家や企業の利益を守るために雇われ、必要であれば情報を武器に駆け引きもする産業スパイのようなエージェントですが、24時間ごとの命がけというのがミソ。虐待されたり、捨てられたりした子どもたちを組織が育て、エージェントとして訓練していきます。その主人公・鷹野の生い立ちや組織に入る前の青春編(原作「森は知っている」)が挿入されており、派手なアクションの裏にあるドラマに深みを持たせています。ピョン・ヨハンがおいしい役どころで印象に残ります。監督は『海猿 ウミザル』で劇場デビューし、「ダブルフェイス」や「MOZU」でも注目された羽住英一郎。主演は藤原竜也。相棒役を竹内涼真。ドラマシリーズを見ると二人の馴れ初めがわかるので、より深い余韻を味わえます。ドラマと同じKing Gnuの主題歌もいい。シリーズ三部作の完結編「ウォーターゲーム」が2018年に刊行されているので、ぜひ続編を期待したいです。それにしても、ヤング鷹野を演じる日向亘くんもよいですが、こども店長だった加藤清史郎くん、すっかり大きくなりイケメン俳優になりましたね。
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