1秒先の彼女
(消失的情人節/My Missing Valentine)
story
ワン・シャオチー(バイ・シャオイン)は幼い頃から、何をするにもワンテンポ早い。おかげで記念撮影の写真は目をつぶってばかりだ。
そんなシャオチー(リー・ペイユー)も30歳。郵便局の窓口で働き、若くて可愛い同僚のウェン(イ・ジャアジャア)を羨みながらも、明るく元気に生きていた。そして、今年のバレンタインデーはなんと、公園のダンス教室で知り合ったイケメンのリウ(ダンカン・チョウ)と過ごすことに。
目覚ましより早く起きるシャオチーは、待望のバレンタインデーの朝を迎える…はずだった。が、なぜか真っ赤に陽灼けしており、バレンタインデーの翌日になっていた。リウには連絡がつかず、警察はまともに取り合ってくれない。
訳がわからないまま仕事から帰宅した夜、停電と共にクローゼットから音がした。現れたのはヤモリの壁虎(ビーフー/クー・パオミン)。人間が失くした物を管理しているという。渡されたトランクにはガラクタと共に、失踪した父(ホアン・リアンユー)の写真、そして数字の付いた鍵が入っていた。
翌日、写真館に自分の写真が飾ってあるのを発見。しかも、目を開けて微笑んでいる。場所は海辺のようだ。撮ったのはグアタイ(リウ・グァンティン)という。毎日、郵便局の窓口で切手を買って手紙を出す変人の彼。そして、あの鍵は私書箱の鍵だ…。
アジコのおすすめポイント:
ワンテンポ早い彼女とワンテンポ遅い彼が、紆余曲折を経て出会うまでを描いたファンタジー・ラブストーリーです。物語は上記のシャオチーのエピソードから、幼い頃にカメと呼ばれていたグアタイのエピソードに移り、様々な謎が解けていきます。監督は『熱帯魚』『ラブ・ゴーゴー』と、台湾ニューウェーブの中でも異色のキュートでマジカルな作品を作ってきたチェン・ユーシュン。その持ち味が見事に発揮された復活作として、台湾金馬奨で5冠に輝くなど高い評価を得ています。主人公を演じるのは、司会業で人気のリー・ペイユーと、昨年の東京フィルメックスで上映された『無聲』での先生役が印象的だったリウ・グァンティン。お久しぶりのダンカン・チョウも出演。さらに、トム・リン監督やマー・ジーシアンなど、様々な人がチョイ役で登場しており、それを見つける楽しみもあり。台湾ならではの風光明媚な景色をバックに、バイクやバスが動き回り、秘密基地が登場します。素敵な奇跡が舞い降りるチェン・ユーシュン・ワールドをじっくりとご堪能ください。
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