ソウルメイト/七月と安生
(七月與安生/Soul Mate)
story
七月(チーユエ:マー・スーチュン)と安生(アンシャン:チョウ・ドンユイ)が初めて出会ったのは13歳の時だった。「私たちは初めて選ばれた」と信じていた二人。いつまでも一緒にいたかった二人に何が起こったのか…。
上海で暮らす26歳の安生に映画会社から連絡が届く。人気ネット小説「七月と安生」を映画化したいという。物語は自伝的要素が強く、幼馴染二人の友情を描いていた。作者は七月だが所在がわからないため、安生を探し出したのだ。だが、安生はそんな小説は知らないし人違いだと嘘をつく。
その日の帰り、電車の中で、安生は偶然にも家明(ジアミン:トビー・リー)と再会する。すっかり社会人になった家明は、逃げるように電車を降りた安生に名刺入れを投げた。
13歳の頃、七月(ヤオ・シンヤン)と安生(リー・ハオファン)は学校の朝礼で知りあい、二人で悪戯したことがきっかけで仲良くなる。安生の母親(ムン・ティンイー)はいつも車で迎えに来るが、仕事で不在なことも多かった。安生は七月の温かい家庭に入り浸るようになり、七月の両親(リー・ピン、チャイ・ガン)も安生を可愛がってくれた。
自由奔放な安生に対し、真面目な七月はハラハラさせられることもあったが、15歳まではいつも一緒だった。やがて、安生は独立して自分の部屋を借り、二人はいつもその部屋で過ごした。そんなある日、七月は好きな人ができたと安生に告白する。相手は図書館でいつも会う家明だ。
安生は相手を確かめるために家明に会いに行く。突然、現れた安生に驚く家明。彼は安生に興味を抱く。やがて七月と家明は交際を始め、安生にもロックギタリストの恋人(シャー・チュアンチー)がいた。安生と七月と家明、3人は自転車に乗ってピクニックへでかけ、鎮江の天洞を訪れた。その後、安生は恋人と一緒に北京へ旅立つのだが…。
アジコのおすすめポイント:
ずっといつまでも変わらず一緒にいたいと願っていた少女二人が、やがて思春期になり恋をして…と、そこから始まる不協和音と葛藤、対照的な性格や生き方から生まれる羨望と嫉妬、それでも変わらぬ相手への思いを、時代の流れとともに描いた友情と愛憎の物語です。懐かしいフェイ・ウォンの「浮躁」やツイ・ジェンなど、それぞれの時代のヒット曲も流れ、登場人物たちのファッションも変わっていきます。
原作は2000年に発表されたインターネット小説家アニー・ベイビーの短編。2016年にピーター・チャン監督のプロデュースにより、香港のデレク・ツァン(名優エリック・ツァンの息子で俳優としても活躍)が単独の初監督作として映画化しました。数々の映画賞を受賞した話題作で、日本では大阪アジアン映画祭で上映され、公開が切望されていたのですが、デレクの新作『少年の君』の公開が決まったことで、急遽日本での公開が決まりました。
主演は中国の若手演技派女優チョウ・ドンユイとマー・スーチュン。二人に愛される罪な男を台湾のトビー・リーが演じています。特に注目したいのがチョウ・ドンユイ。どちらかというとマー・スーチュンの方が、活発で陽気なおてんば娘のイメージがあるのですが、監督はあえて逆の役柄に設定。地味で大人しい印象のチョウ・ドンユイを大胆奔放な不良娘に変身させました。この後に公開が控える『少年の君』での演技も素晴らしいのですが、本作ではチョウ・ドンユイの振り幅の大きい様々な演技を見ることができます。
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