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走れロム

監督:チャン・タン・フイ
脚本:チャン・タン・フイ
撮影:グエン・ヴィン・フック
編集:リー・チャータメーティクン、チャン・タン・フイ
   ダット・チャン
音楽:トン・タット・アン
出演:チャン・アン・コア、アン・トゥー・ウィルソン、ティエン・キム、カット・フーン、マイ・チャン、WOWY、マイ・テー・ヒエップ、タン・トゥー

2019年/ベトナム
日本公開日:2021年7月9日
カラー/シネスコ(2.39:1)/DCP/79分
字幕:秋葉亜子
配給:マジックアワー
© 2019 HK FILM
2019年 釜山国際映画祭
 ニューカレンツ部門 作品賞
2020年 ファンタジア国際映画祭 新人作品賞
2020年 バルセロナ・アジア映画祭 作品賞
2021年 大阪アジアン映画祭 特別招待作品


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走れロム(ROM)

story

 屋根裏部屋の壁にナンバープレートを貼って、数字を眺めるロム(チャン・アン・コア)。彼は数字に夢中だ。仕事は走ること。公営宝くじの陰で行われているデー(闇くじ)の数字を予想して賭け金を集め、仲介人に渡す。当選数字が出たら数字の書かれたゾーを走って配る。当たればマージンが貰えるのだ。

 昔、大当たりを出したおかげで、賭け主の家の屋根裏に住まわせてもらっているロム。幼い頃、親に置き去りにされたロムは、顔を忘れないように親子でいる絵を壁に描き、いつか親探しをするために金を稼いでいた。

 だが、最近はツイてない。馴染みの街で今ツイているのは、ライバルのフック(アン・トゥー・ウィルソン)だ。街には地上げ屋が出入りし、皆、立ち退きを迫られていた。ロムはフックを頼りにしている一人暮らしの老婦人バーさん(ティエン・キム)を騙して、2500ドルの借用書を受け取る。仲介人が休んでいため、フックに頼んでギーさん(カット・フーン)を紹介してもらった。

 ところが、数字ははずれ、バーさんは思い出と共に自殺してしまう。ショックを受けるロム。落ち込んでいるロムを救ったのは、ギーさんだった。彼女はロムに食事を与え、腹を壊しているロムを病院へも連れていった。彼女の子供は末期ガンで入院していた。

 そしてロムにツキが訪れる。カックさん(マイ・チャン)の亡くなった妻子の墓を見つけ出し、数字を当てたのだ。ギーさんからは「腹が減ったらおいで」と優しくされ、親探しのアテもできた。皆が次の数字をロムに期待していた。ところが、フックに拉致され、ロムの数字の賭けを横取りされてしまう。

 果たして、数字は当たったが、賭けは間に合っていなかった…。

アジコのおすすめポイント:

ベトナムから異色作が登場しました。テーマはずばり「闇くじ」。ベトナムの労働者階級(人口の7〜8割)の間で広がっている非合法な闇くじ「デー」をめぐり、当たりくじの数字を予想して生計を立てる少年たちと、くじに人生を賭ける人々の右往左往を描くヒューマンドラマです。数字を予想して売り歩き、仲介業者に渡し、当選数字を書いた紙(ゾー)を配って走り回る姿は目まぐるしく、また、ライバル少年とのぶつかり合いも激しく、疾走感溢れる作品になっています。監督は新鋭チャン・タン・フイ。ベトナム映画というと、トラン・アン・ユンやヴィクター・ブー、アッシュ・メイフェアやレオン・レなど、海外を拠点にしている監督が多いのですが、このチャン・タン・フイ監督は生粋のベトナム人。自分の家族をも巻き込んでいる「闇くじ」の世界を描くため、まず2012年に短編『16:30』を撮影。それが世界の映画祭やトラン・アン・ユンなどプロデューサーたちの目に留まり、長編映画として本作が誕生したのでした。


ほとんどのシーンが手持ちカメラで撮影されており、冒頭から斜め。右に左に傾いた映像が印象的。ずっとコンビを組んでいるというグエン・ヴィン・フックの映像は素晴らしく、注目の撮影監督です。主人公を演じているのは、監督の実の弟、チャン・アン・コア。演技経験はありませんが、短編の時から主人公を演じており、その映像が本編でも使われています。ライバル役のアン・トゥー・ウィルソンはダンサー。どうりで身が軽いわけです。ぶつかりあいながらも、いつも一緒のふたりですが、撮影を通じて親友になったそうです。ところで本作は世界で認められたものの、その内容から本国では検閲があり修正を余儀なくされています。主な削除は不動産がらみや事件がらみのシーン。その代わり、いくつかのシーンが追加され、希望のあるエンディングになっています。そんな話題性もあり、本国ではインディペンデント系の映画にもかかわらず商業的にも大ヒットを記録しました。ぜひ、劇場でご覧ください。

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