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大地と白い雲

大地と白い雲
(白云之下/Chaogtu with Sarula)


監督:ワン・ルイ
原作:「羊飼いの女」作・モー・ユエ(漠月)
脚本:チェン・ビン
撮影:リー・ウェイ
編集:チョウ・シンシア
出演:ジリムトゥ、タナ、ゲリルナスン、イリチ、チナリトゥ、ハスチチゲ

2019年/中国
日本公開日:2021年8月21日
カラー/ビスタ/5.1ch/111分/中国語・モンゴル語
字幕:樋口裕子
字幕監修:山越康裕
配給:ハーク
© 2019 Authrule (Shanghai) Digital Media Co., Ltd. Youth Film Studio
2019年 東京国際映画祭 最優秀芸術貢献賞
2020年 中国金鶏奨 最優秀監督賞(ワン・ルイ)


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*東京国際映画祭での上映タイトルは『チャクトゥとサルラ』。監督と出演者3人、プロデューサーがゲスト来日していました。2019年の映画祭は事情によりほとんど参加できなかったので、取材もできず。映画祭の公式サイト公式インタビューやQ&Aなどの記事が出ていますので、ぜひご覧ください。

story

 内モンゴルに広がるフルンボイル草原。チョクト(ジリムトゥ)は羊とトラックを交換し、草原から出て行く。バイクに乗ってチョクトを探し回る妻のサロール(タナ)。郵便物を届けに来る夫の親友バンバル(イリチ)に詰め寄るが、口を濁して逃げて行く。数日後、チョクトは羊たちを連れて帰って来た。

 いつものことだった。チョクトとサロールは互いに愛し合う仲の良い若夫婦だが、サロールは草原での暮らしが好き。草原から離れる気はない。だが、チョクトは草原での暮らしに窮屈さを覚え、外の世界に憧れていた。サロールは腹を立てていたが、チョクトのプレゼントで気を取り直し、二人はすぐに仲直りする。

 かつては遊牧民だった彼らの暮らしは、時代の変化と共に変わっていた。定住生活を余儀なくされ、草原には針金のフェンスが張り巡らされている。牧草地を売って都会に出て行く者もいた。夜中に軍用車がやってくることもあった。草原には鉄鉱石が採掘されたような跡がある。チョクトは焦りと不安を感じていた。

 皆で街へ繰り出すこともある。サロールは姉の家へ行き、チョクトはバンバルたちとカラオケへ。この日は喧嘩して警察のお世話になった。一方で、草原での宴会も楽しみだ。チョクトが野生馬を縄で捕獲する「馬追い」で見事な手腕を披露。サロールはその勇姿に見惚れる。二人とも草原の暮らしが好きだが、サロールはずっとこのままでいたいと願い、チョクトはもっと広い世界を見たいと願っていた。

 チョクトはスマホを手に入れ、サロールにもプレゼントする。離れていても互いの姿が見える機能に興味を示すサロール。ところが吹雪の夜、車を買いに行ったまま戻らないチョクトを心配したサロールと諍いになり、それがもとでサロールは流産してしまう。自責の念にかられたチョクトは、彼女のために草原に留まることにするのだが…。

アジコのおすすめポイント:

内モンゴルの雄大で美しい大自然を背景に、変わりゆくモンゴルの人々の暮らしと葛藤を一組の若夫婦に託して描いたヒューマンドラマです。互いに愛し合っているのに、妻は旧来の生活を守りたい。夫は外に出てもっと広い世界を見たい。本能に逆らえない二人は衝突し、悲劇も起こりますが、夫は必ず妻の元へ戻って来ます。根っこには、もっといい暮らしをして妻を幸せにしたいという思いがあるのです。これは夫婦愛の物語。変化を受け止め、どう折り合って生きていくか、という人生の選択の物語でもあります。監督は北京電影学院の教授でもある第六世代のワン・ルイ。本作は2019年の東京国際映画祭コンペティション部門でワールドプレミア上映され、最優秀芸術貢献賞を受賞しています。夫役のジリムトゥはフランスで演技を学んでいますが、撮影のない日は草原で暮らしているそうです。妻役のタナはモンゴル民謡の歌手。劇中で彼女の歌を聴くことができます。本作が二人の初主演作となりました。ちなみに、食いしん坊のアジコが気になったのは、二人の食卓の上にいつも置いてあるスナック菓子のようなもの。モンゴルのお菓子かなあ。


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