殺人鬼から逃げる夜(MID NIGHT/Midnight)
story
お客様相談センターの手話部門を担当するギョンミ(チン・ギジュ)は、明るくて機転も利く。その夜、取引先との飲み会があり、同席する女子社員が募られる。皆が嫌がる中、ギョンミは率先して手をあげる。聴覚障害者のギョンミには何も聞こえないし、話す必要もないからだ。
ギョンミと二人で暮らす母親(キル・ヘヨン)も聴覚障害者だが、歩合制で縫製の仕事をしており、仲間内でも稼ぎ頭だった。その日、給料をもらった母親は、ギョンミに「チェジュ島へ遊びに行こう」とスマホで提案。話が決まり、夜にいつものスーパーの近くで待ち合わせる。
警備会社に勤める兄ジョンタク(パク・フン)と二人暮しのソジョン(キム・ヘユン)は、久しぶりの合コンにでかける。兄を説得して門限を遅くしてもらったソジョンだが、その頃、街では若い女性を狙った連続殺人事件が発生していた。そして、夜の帰り道を急ぐソジョンに、「送りますよ」と車の男が声をかけてきた。
夜、駐車場に車を停め、ギョンミが母親との待ち合わせ場所に向かうと、路地の暗がりからハイヒールが飛んできた。路地を覗き込むと、血を流している女性がいる。助けを呼ぼうと慌てるギョンミは、近くに潜んでいた殺人鬼ドシク(ウィ・ハジュン)に捕まってしまう。
スキをみて逃げ出したギョンミは非常ベルを鳴らして、母親のところへ。そこへ、妹を探しているというスーツ姿の男が現れ、パトカーもやって来る。警察で事情聴取が行われているところへ、ソジョンを心配するジョンタクも駆け込んできた。彼が見せた画像は、さっきの被害者の女性!
警察が席を外した間、怪しむ母娘の前で、スーツ姿の男はナイフを取り出し殺人鬼へと変貌する…。
アジコのおすすめポイント:
聴覚障害を持つ母娘を主人公に、快楽殺人を犯すサイコキラーからの逃亡と対決を描くサスペンススリラーです。被害者を助けようとしたばかりに事件に巻き込まれ、自分がターゲットになってしまう若い女性。それに被害者の兄も加わり、一夜のうちに果てしない逃亡劇が繰り広げられます。映画では、聞こえない世界の感覚を味わえるように音を消し、車や家に取り付けられた騒音測定器や音に反応するおもちゃ、警報装置の点滅などで、迫り来る危険を視覚化しています。これがデビュー作となったクォン・オスン監督は、カフェにいた時に手話で会話する二人を見かけ、本作の企画を思いついたそう。主演のチン・ギジュは2ヶ月間、手話の学校に通って難役に挑みました。一方、反感とジレンマを乗り越えて殺人鬼役を演じたウィ・ハジュン。イ・ミンギに似たイケメンで、普通の人に化けたサイコキラーを飄々と体現しています。とにかく走るシーンが多く、兄役のパク・フンと3人で、迷路のような夜の路地を走りまくります。終盤、繁華街の雑踏での対決シーンは最大の見所。無関心な通行人の中で、コミュニケーションのとれないヒロインがどうやって決着をつけるか、ぜひスクリーンでご覧ください。
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