summary
華やかなレッドカーペットの上を堂々と歩く、香港映画界の巨匠アン・ホイ監督。映画と供に40年以上を過ごしてきた彼女は、今、雨の中、雨合羽姿で新作(『明月幾時有』2017年)の撮影現場にいる。その映画と香港への情熱は今も変わっていない。
アン・ホイは1947年、中国の遼寧省鞍山市で中国人の父と日本人の母のもとに生まれた。幼少時は祖父母の住むマカオで過ごし、5歳の頃、家族で香港に移住。西洋文学に魅了され、香港大学で英語と文学を学んだ後、ロンドンの映画学校で2年間、映画を学ぶ。
香港に戻ってからは、キン・フー監督の助監督を務め、テレビ局で手がけた社会派ドラマで頭角を表す。そして1979年、初の長編映画『瘋劫』で監督デビュー。香港ニューウェイブの旗手として活躍していく。当時、彼女が関心を抱いていたのは、香港における「東洋と西洋の出会い」だった。
当時の作品群の紹介と共に、アン・ホイと同時期に香港や台湾の映画界を牽引してきたツイ・ハークやホウ・シャオシェン、フルーツ・チャンらが当時を語り、中国のティエン・チュアンチュアン、ジャ・ジャンクーらがインタビューに応える。アン・ホイと親交の深いシルヴィア・チャン、アンディ・ラウらも証言する。
映画界での浮き沈みも経験し、自宅で忌憚なく自身を語るアン・ホイ。猫や老母との暮らしぶりも紹介。母の介護施設を探した経験から生まれたのが『桃さんのしあわせ』だ。カメラは人間としてのアン・ホイ監督に肉迫。彼女の過去から現在、そして未来までを捉える。
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