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ユンヒへ

監督:イム・デヒョン
脚本:イム・デヒョン
撮影:ムン・ミョンファン
照明:ムン・イルホ
編集:パク・セヨン
美術:キム・ジンヨン、福島奈央花
劇伴:キム・ヘウォン
出演:キム・ヒエ、中村優子、キム・ソヘ、ソン・ユビン、木野花、瀧内公美、薬丸翔、ユ・ジェミョン(特別出演)

2019年/韓国
日本公開日:2022年1月7日
カラー/シネスコ/5.1ch/105分
字幕:キム・ヨンヒ、チョ・ミンジョン、根本理恵
協力:loneliness books
配給:トランスフォーマー
© 2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
2019年 釜山国際映画祭クロージング作品
2019年 釜山国際映画祭 クイア・カメリア賞
2020年 青龍映画賞 監督賞・脚本賞(イム・デヒョン)
2020年 釜山映画評論家協会賞 新人女優賞(キム・ソヘ)
2020年 フェロー諸島映画祭 助演女優賞(キム・ヒエ)
2020年 フィレンツェ韓国映画祭 批評家賞(イム・デヒョン)
2020年 韓国映画評論家協会賞 今年の映画ベスト10
 監督賞・脚本賞(イム・デヒョン)音楽賞(キム・ヘウォン)
2020年 韓国映画製作者協会賞 女優賞(キム・ヒエ)
2020年 ワイルドフラワー映画賞
 プロデューサー賞(パク・トゥヒ)
2020年 黄金撮影賞 新人女優賞(キム・ソへ) 

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ユンヒへ(ユンヒへ/Moonlit Winter)

story

 北海道。走る列車の窓から真冬の海が見える。

 小樽。カフェを営むマサコ(木野花)は、一緒に暮らす姪ジュン(中村優子)の部屋に入った時、机の上に置かれたままの手紙を見つける。それは韓国で暮らす初恋の女性ユンヒ(キム・ヒエ)への、投函されないはずの手紙だった。マサコはそれを思い切ってポストに入れる。「いつになったら雪がやむのかしら」

 韓国。高校生のセボム(キム・ソヘ)は、ポストに入っていた母ユンヒ宛の手紙をこっそり盗み読む。それは、日本から届いた20年ぶりの手紙だった。ユンヒは夫インホ(ユ・ジェミョン)と離婚し、社員食堂で働いている。たまに、心配したインホが帰宅時にドアの前で待っていることがあるが、ユンヒは彼を避けていた。

 受験生のセボムは、ソウルの大学に進学するつもりだ。趣味は写真。母の古いカメラで写真を撮り、写真館の伯父に現像してもらう。伯父はセボムの写真をほめてくれた。母の過去が知りたくて、伯父から昔話を聞き出そうとするがうまくいかない。

 母と離婚した理由を父に尋ねると、「一緒にいるとなぜか寂しくなる」と言っていた。そんな父には新しい恋人ができたようだ。母は美しく、まだまだイケてるとセボムは思う。だが、母の笑顔を見たことがない。父より寂しそうだ。BFのギョンス(ソン・ユビン)にも相談してみる。

 小樽の動物病院で働く獣医ジュンの母は韓国人だ。韓国で生まれたが、両親が離婚した時に、日本人の父親を選び日本へやって来た。その父も死に、今は一番気が合う独身の伯母マサコと二人で暮らしている。

 そんなある日、セボムの企みで、ユンヒは仕事を辞めて北海道旅行に出発する。ジュンからの手紙を読んだのだ。小樽への母娘旅行。ギョンスも先に着いていた。ユンヒは一人でジュンの家の前まででかける…。

アジコのおすすめポイント:

雪深い小樽で伯母と暮らす日韓ハーフの女性と、韓国の地方都市で離婚して娘と暮らす女性。20年ぶりに届いた手紙が二人をつなぎ、過去と向き合って未来へ踏み出していく物語です。おそらく、若い頃に深く愛し合っていたであろう二人。それだけに深く傷ついたであろう二人。具体的には描かれませんが、そんな二人が過去のわだかまりと決別し、幸せな未来へ向かっていく余韻を感じさせる素敵な作品です。監督は新鋭イム・デヒョン。韓国でもLGBTQへの理解が深まってきた今、レズビアン、そして2つの祖国を持つマイノリティというテーマを中年女性の背景に託し、繊細な脚本と映像で描き出しました。日本の舞台に選ばれたのは、岩井俊二監督の『Love Letter』ファンの友人に連れられて訪れたという小樽。ロケは大変だったようですが、主人公二人の心情を表す美しい映像に仕上がっています。主演は『優しい嘘』のキム・ヒエと『火垂』の中村優子。二人を支える伯母役の木野花と娘役のキム・ソヘの存在も光っています。韓国では満月団というファングループまでできたという本作。伯母の営む喫茶店も素敵です。小樽旅行をしたくなりますよ。


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