野獣の血(熱い血/Hot Blooded)
story
釜山の沖合。小舟で近づいていったパク・ヒス(チョン・ウ)が、大型船に乗り込む。船上ではヨンド派のナム会長(キム・ジョング)を囲んで宴席が設けられていた。ヒスを歓迎するナム社長の音頭で乾杯。ヤンドン兄貴(キム・ヘゴン)から貴重な朝鮮人参を贈られる。ヨンガン(チェ・ムソン)がプレゼントしたのは拳銃だった。そして…。
1993年、春。クアムの養護施設出身のヒスは、地元のソン社長(キム・ガプス)のもとで働き、町の人たちから頼りにされていた。そんなある日、洗濯工場のオク社長(チャ・スンベ)が覚醒剤を隠していたことが判明。ソン社長から覚醒剤だけには手を出すなと言われたヒスは、洗濯工場を奪ったヨンド派のヨンガンを罠にかけるため、一計を案じる。
ヒスと同じ施設で育ったチョルジン(チ・スンヒョン)は、クアムを出てヨンド派に入り、幹部にまで出世していた。久しぶりにヒスと会ったチョルジンは「インスク(ユン・ジヘ)と一緒になるのか」とヒスを冷やかす。ヒスの夢はインスクと所帯を持って、ペンションを開くことだった。
オク社長から覚醒剤の在り処を聞き出したヒスは、馴染みの警察に通報してオク社長を殺害。洗濯工場に警察の手入れが入り、ヨンガンが覚醒剤所持と殺人の罪で逮捕される。5年は出所できないはずだ。対立が納まった後、ヒスはソン社長に今の仕事を辞めて足を洗いたいと申し出、ヤンドンと事業を始める。
2人が始めた娯楽室と酒の事業は順調だった。出所したばかりのインスクの息子アミ(イ・ホンネ)も手伝った。金貸しのホン社長(ユン・ジェムン)が資金提供を申し出るほどだ。クアムを手に入れたいヨンド派も介入。殺人事件をきっかけに一触即発になるが、チョルジンたちが事業提携を提案する。だが、ヒスは断り「戦争する」と息巻く。
チョルジンを使ってヒスを取り込みたかったナム会長は、ヨンガンを出所させる。洗濯工場に乗り込み暴れるヨンガン。ヒスもやって来るが、ヨンガンはヒスに施設出身者が王になる話を持ちかける…。
アジコのおすすめポイント:
1993年。釜山の片隅で生きる極道たちの利権を巡る抗争と裏切り、生き残る術を描いた韓国ノワールです。原作はキム・オンスの傑作ノワール小説「熱い血」。同じくベストセラー作家のチョン・ミョングォンが映画化し、長編監督デビューを果たしています。1990年のノ・テウ大統領による犯罪組織一掃政策「犯罪との戦争」後、ヤクザたちはいかにして生き延びたのか。主人公が擁護施設出身者というのがミソ。彼は同じ施設出身の女と家庭を持ち、ヤクザ稼業から足を洗ってペンションをやりたいと夢を持っているのですが、そんな彼を見込んだ2つの勢力の長は彼を放っておきません。否応なく抗争に巻き込まれていく男が下した決断とは…。主演はチョン・ウ。時代の流れと共に描かれる黒社会のファミリー映画は、かつての香港映画や台湾映画を彷彿とさせます。
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