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オマージュ

オマージュ(Hommage)


監督:シン・スウォン
脚本:シン・スウォン
撮影:ユン・ジウン
編集:ソン・ジンウ
美術:ユン・サンユン
音響:キム・スヒョン
音楽:リュ・チャン
出演:イ・ジョンウン、クォン・ヘヒョ、タン・ジュンサン、イ・ジュシル、キム・ホジョン、コ・ソヒ、オ・ジョンウ、ユ・スンチョル、チャンユ、チョン・エファ

2021年/韓国
日本公開日:2023年3月10日
カラー/シネスコ/5.1ch/108分
字幕:江波智子
配給:アルバトロス・フィルム
©2021 JUNE FILM
2022年 アジア太平洋映画祭 演技賞(イ・ジョンウン)
2022年 黄金撮影賞 新人撮影賞(ユン・ジウン)
2022年 大鐘賞映画祭 注目視線賞(シン・スウォン)
2022年 韓国映画評論家協会賞 ベスト10
2022年 フィレンツェ韓国映画祭 審査委員賞



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poster

story

 水泳教室に通う映画監督のキム・ジワン(イ・ジョンウン)はバタ足もうまくできないが、3作目『幽霊人間』の動員数が1週間で20万人を超えるよう願掛けして泳ぎ切る。が、現実ははるかにきびしく、右腕のプロデューサー、セヨン(コ・ソヒ)と映画を観に行ったものの、観客は自分たちだけだった。しかも、セヨンは資金が尽きたので、これを最後の作品にしたいと言う。

 脚本の書き直しも進まず、つい綴りを間違えるジワン。夫サンウ(クォン・ヘヒョ)は今や生活費を入れるだけの存在。酒で寂しさを紛らわせる彼は横柄な態度をとるので、ジワンは家庭内別居をすることにした。大学生の息子ボラム(タン・ジュンサン)は図書館で詩を読むバイトをしており、詩を書いて母親宛に手紙を送ってくる。母の手料理を恋しがる一方で、行き詰まる母を応援していた。

 そんなある日、後輩のツテで「意義ある仕事」のバイトを頼まれる。依頼人のチュニョン(オ・ジョンウ)によると、韓国で2番目に女性監督になったホン・ジェウォン(キム・ホジョン)の作品『女判事』が見つかったので、開館記念映画祭の開幕作品にしたいが、途中から音声がないので作って欲しいというのだ。予算は1000万ウォンと少なかった。

 「考えてみる」と返事したジワンに怪現象が起こる。歯磨き中に隣から「私を出して」という女の声が聞こえた。隣はずっと留守なのに。また夜、マンションの近くを歩いていると後ろから足音が聞こえ、石垣に映った自分の影が帽子を被った女になっていた。ジワンは依頼を引き受ける。

 『女判事』は実話を元に作られていたが、台本が残っておらず出演俳優もいない。ホン監督には娘(チョン・エファ)がいたので早速訪ねると、『女判事』の衣装が残る部屋に通された。帽子を被りコートをあててみると、前に見た影とよく似ていた。

 その後、寄贈されていた台本が見つかるが、いくつかのシーンが抜けており、話の流れが不自然だった。何かヒントがないかと、娘から預かったホン監督の取材ノートをめくると、1枚の古い写真が挟まっていた。写っていたのは3人の女性で、裏に「三羽カラス」「明洞茶房」と書いてある。

 住所を訪ねると喫茶店で、「明洞茶房」の主(ユ・スンチョル)もいた。彼は映画のフォトグラファーだった。3人の写真を見せると懐かしみ、自宅で古いアルバムを見せながら、写真に写っている女性編集者の電話番号を教えてくれた。ジワンは彼女、イ・オッキ(イ・ジュシル)を訪ね、『女判事』の封切館を教えてもらうのだが…。

アジコのおすすめポイント:

女性監督シン・スウォンの体験からできた作品です。30歳で教員を辞めて映画監督になったシン監督。自主制作映画『虹』で監督デビューし、第23回東京国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞します。2011年には韓国初の女性監督パク・ナモクと2人目のホン・ウノンについてのテレビドキュメタリーを撮影。その時に2人の監督と親交のあった80歳の女性編集者に会い、最後まで映画監督として生き抜くよう励まされたことが、本作に描かれています。主演は『パラサイト 半地下の家族』で一躍注目された演技派のイ・ジョンウン。本作が初の単独主演作になりました。眼鏡をかけた彼女はシン・スウォン監督にそっくりです。夫役はクォン・ヘヒョ。息子役はドラマ「愛の不時着」の朝鮮人民軍兵士役で注目されたタン・ジュンサンが演じています。今でこそ、女性監督による女性映画が増えてきた韓国ですが、もともと男女差別が激しい社会。家庭と仕事の両立も難しく、ストレスも大きいに違いありません。同時に映画愛に溢れた作品にもなっており、古い映画館や残っていたフィルムを洗って繋げ、再現する興味深いシーンも登場します。


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▼公式サイト ▼予告編