story
1977年、北京。人気のない体育館に、二人の京劇俳優が入ってくる。11年ぶりに再会した、かつての大スター、程蝶衣(チョン・ティエイー/レスリー・チャン)と段小樓(トァン・シャオロン/チャン・フォンイー)だ。22年ぶりの共演。ステージにスポットライトが点灯する。
二人が初めて出会ったのは、1924年。蝶衣は9歳の頃に娼婦だった母親(チャン・ウェンリー)に連れられ、京劇養成所に入れられた。新入りの小豆子(シャオトウヅー/マー・ミンウェイ)は皆からいじめられるが、小石頭(シャオシートウ/フェイ・ヤン)はいつも彼をかばっていた。
数年後、小豆子(イン・チー)は女役、小石頭(チャオ・ハイロン)は男役となり、小豆子は「男であることを忘れ、女になれ」と師匠から厳しく折檻される。小豆子は同じように殴られてばかりいる小癩子(シャオライヅー/リー・タン)と脱走するが、街の劇場で京劇役者の見事な演技を観て感動。自分たちも名優になろうと戻ってくる。
小豆子と小石頭は、清朝時代の宦官だった張(チャン/トン・ディー)の屋敷で、初めて「覇王別姫」演じ喝采を浴びる。だが、舞台の後で張に呼ばれた小豆子は辱めを受け、自分の悲しい運命を思い知るのだった。帰り道に捨て子の赤ん坊を見つけた小豆子は、同情して連れ帰り、小四(シャオスー)と名付け育てることにした。
1937年、小豆子は程蝶衣(レスリー・チャン)、小石頭は段小樓(チャン・フォンイー)と名乗り、人気役者として一世を風靡していた。だが、小樓は「花満樓」の娼婦・菊仙(チュイセン/コン・リー)に入れあげており、結婚を宣言。嫉妬で取り乱した蝶衣は、京劇界の大物、袁(ユアン/グォ・ヨウ)の屋敷を一人訪れ、勧められるままに酒をあおる。その夜、北京は日本軍に占領された。
日本軍の敗退、共産党の台頭、続く文化大革命…京劇や役者たちの運命が、激動の歴史の中で翻弄されていく…。
アジコのおすすめポイント:
中国第五世代を代表するチェン・カイコー(陳凱歌)監督の最高傑作『さらば、わが愛 覇王別姫』が、時を経て4Kデジタルリマスター版となり、映画公開から30周年、主演のレスリー・チャン没後20周年の節目の年、大スクリーンに蘇ります。日本公開当時、現在修復中のBunkamuraル・シネマで上映された本作は満員御礼が続き、なかなかチケットが取れなかったことを思い出します。やっと入れたのが前から2列目で、首が痛かったものの、ストーリー、映像、音楽に圧倒され、その後も他の劇場で何度も鑑賞。日本映画批評家大賞授賞式のチケットが当たり、めでたく監督とレスリーに初対面。関連本を買いあさり、プレイヤーもないのにレーザー・ディスクまで購入。その後、レスリーは香港映画への道を開いてくれ、今のアジコに至っております。それはさておき、最高の映像技術で新たに蘇った本作は、新しい映画ファンをも魅了してくれることでしょう。今も活躍する中国の名優、コン・リー、チャン・フォンイー、グォ・ヨウの若き日々。そして、永遠のレジェンドとなったレスリー・チャン。屈指の名作をぜひ、劇場で体感してください。
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