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青春

青春(青春 春/YOUTH (spring) )

監督:ワン・ビン
撮影:前田佳孝、シャン・シャオホイ、ソン・ヤン、
   リウ・シェンホイ、ディン・ビーハン、ワン・ビン
編集:ドミニク・オーヴレイ、シュー・ビンユエン、リヨ・ゴン
音響:ランコ・パウコヴィチ

2023年/仏・ルクセンブルク・オランダ
日本公開日:2024年4月20日
カラー/1.85/5ch/2K/DCP/215分
字幕:磯尚太郎
配給:ムヴィオラ
©2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinema - Les Films Fauves - Volya Films - WANG bing
2023年 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品
2023年 台湾電影金馬奨 最優秀ドキュメンタリー賞
2023年 ロサンゼルス映画批評家協会賞 エクスペリメンタル賞


poster


story

 大河・長江の下流一帯は、上海を中心とした長江デルタと呼ばれる地域。その中の浙江省湖州市には織物で栄えた町、織里がある。今では子供服の一大生産地となり、1万8000以上の子供服工場が立ち並ぶ。労働者の30万人以上は、主に雲南や貴州、安徽、江西、河南、江蘇からやってきた「農民工」と呼ばれる出稼ぎ労働者たちだ。

 利民路93号工場。ズーグオとションナンがミシンがけの競争をしている。工場で流れるのは大音量のポップソング。ションナンが勝ち、ズーグオは彼女の願いを聞くことに。2人の部屋は近く、やがてションナンは妊娠。ズーグオの両親は結婚して産んでくれることを願っているが、ションナンの両親はズーグオの婿入りが条件。目立たない内に中絶させたいと思っている。

 益民路178号工場。シャオウェイは年上のシャンシャンと仲良し。歌いながらミシンをかけ、シャンシャンは誕生パーティではしゃぐ。若いワン・チェンとシャオウェイが喧嘩を始めた。シャオウェイを守ったのは、同じ工場で働く母親だった。ションドンは故郷の家族に電話する。

 幸福路110号工場。ヤンとカイジーはいくら稼いだか計算する。ジュエンは仕事の後、ネットカフェでも働いている。深夜、ヤンとカイジーがゲームで遊ぶ中、受付で疲れて眠りこけるジュエン。給料日が来た。ヤンとカイジーはバスに乗って故郷へ帰る。

 幸福路76号工場。陽気なグアンチョンは、隣でミシンをかけるニーに夢中。ちょっかいを出してはニーに耳をつねられる。じゃれあってはいるが、クールなニーの眼中にグアンチョンはなさそう。そんな中、この綿入れ工場では賃上げ交渉が始まろうとしている。

 幸福路78号工場。労働者たちが工賃単価をあげてもらおうと工賃リストを見ながら相談。皆で談判にいくが、布を裁断している社長は「仕事中だ!」と一喝。チンタオが代表となり、様子をみながら再度、交渉に向かう。

アジコのおすすめポイント:

中国の外から資金を得て、リアルな中国を記録し続けるワン・ビン監督の最新ドキュメンタリーです。今回も215分と長尺ですが、不思議と長さを感じさせないのはいつものこと。それだけ映像に力があり、観せる(魅せる)吸引力があるのです。いつも眠くならないのが不思議。さてさて、今回の主人公は縫製工場と若者たち。大音量で流れるポップソングの中を、若者たちが電動ミシンをガーガー(ザーザー?)鳴らしながら、子供服のパーツを次々と仕上げていきます。パーツ、糸でつながってます。こんな風に分業して仕上げていくのですね。若い分、手際もよく仕事が早い。しかも自由な雰囲気でおしゃべりも歌うのも自由。賃上げ交渉も自由。中には煙草を吸いながら(服が煙草臭くならないのか心配ですが…)というのもあり。恋愛も盛んで、妊娠して悩むカップルもいれば、片想いや熱々の恋人同士もいて面白い。どのカップルも女性が歳上で、主導権を握っているようです。中国の若者たちもグローバル化で、今風の美男美女が増えました。彼らを取り巻く社会や現実は違うけれど、世界の若者たちと変わらない青春風景がここにはあります。カメラは彼らの喜怒哀楽にそっと寄り添っているだけで、けっして邪魔しません。まるで巨大な長屋のような、工場の上(おそらく)での寮生活。長い通路にも屋上にも大量のゴミが散乱しているのが気になりますが、それも中国らしい。約20分のエピソードが9つのセグメントで構成された本作。短編青春映画を数本まとめて観たような、あっという間の215分です。やっぱり、若いっていいなあ。彼らのその後が気になります。ちなみに、本作は3部作としてシリーズ化の予定。「春」の次は何が来るのかな?

「1日のほとんどの時間を労働に費やしている彼らは、長時間の労働をやり過ごすために、遊んだり、いちゃついたり、喧嘩を売ったり、口論したり、ばか騒ぎしたりしているのです。彼らには基本的に休暇はなく、職場を離れることも許されません。だからこそ大音量で音楽をかけたり、冗談を言ったり、恋の鞘当てをしたり、口論したり、意味もなくお互いの名前を呼んでみたり、ゲームを作り出したりします。彼らはそうやって時間を潰し、正気を保っている。これが彼らにとって、与えられた状況に対処する方法、現状をなんとか耐えられるものにするための方法なのです」(*監督インタビューより)


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