logo

野。良犬

野。良犬(野・良犬/The Pye Dog)

監督:デレク・クォック
脚本:ロン・マンホン
撮影:オー・シンプイ
編集:マシュー・ホイ
衣装:リー・ピックァン
美術:エリック・ラム
音楽:テディ・ロビン、トミー・ワイ
主題歌:「問天不應」(歌・ジョージ・ラム)
出演:イーソン・チャン、マン・ジュンファイ(JUN/Seventeen)、ジア・リン、スーザン・ショウ、ジョージ・ラム、エリック・ツァン、チョン・コッキョン、レイチェル・リー(ロレッタ・リー)

2007年/香港
日本公開日:2025年8月8日
カラー/90分
字幕:
配給:ハーク
©2007 Big Pictures Ltd. All In One Media Ltd.
2007年 アジア海洋映画祭 グランプリ
2008年 香港電影金像奨 助演女優賞(スーザン・ショウ)
2008年 香港映画監督協会年度大賞
 新人俳優賞(マン・ジュンファイ)

poster

story

 12歳のラム(マン・ジュンファイ)は怒りっぽい鬼婆の祖母(スーザン・ショウ)と二人暮らしだ。生まれつき霊感が強く話すのをやめたため、自閉症と思われている。幼い頃に父は出て行き、母(レイチェル・リー)は閉じこもって同じ歌ばかり聴いていた。「お父さんは飛熊(フェイホン)を捕まえにいったの。花が咲いたら帰って来る」そして、ビルの上から飛び降りた。

 幼い頃から天涯孤独なチェン(イーソン・チャン)は、改造銃を作って遊んでいた時にアチャ(エリック・ツァン)と出会う。彼はチェンをかわいがり、黒社会に紹介。今は修理担当だ。ある日、アチャから仕事を頼まれる。ボスのフェイホンを殺してタイに逃げたラウ・クージャ(ジョージ・ラム)が香港に戻っている。逃亡前に結婚しており、息子がいるので小学校に潜入してラウを見つけ出せと。

 チェンは用務員になりすまして小学校で働くうちに、ラムと仲良くなる。自分は潜入警官だと偽り、ラムを少年スパイに任命してからかうチェン。孤独なラムはチェンに不思議な魅力を感じ、どんどんなついていった。担任のチャン先生(ジア・リン)もラムを気遣っており、学校主催のピクニックで3人は忘れ難い夜を過ごすことになる。

 ピクニックの帰り、バスに戻ってこないラムを探しに、チャン先生はチェンと森へ入っていく。ラムは川に落ちていた。森の妖怪を恐れて叫ぶラム。その声にチェンが気づいて助け上げるが、3人は森から出られなくなる。電波が通じず、森を堂々巡り。やむなく野宿する3人。だが、その事件のおかげで、ラムとチェンは同じ境遇とわかり、意気投合する。ラムが言葉を話せることもわかった。

 翌朝、電波は回復していたが、ラムが高熱を出していたので、急いで病院へ運ぶ。看病する祖母に代わって、チェンが入院手続きをするが、戸籍を見て驚く。ラムは探していたラウ・クージャの息子だった。チェンは仕事をやめたいとアチャに頼むが、すでに殺し屋(チョン・コッキョン)がやって来ていた…。

アジコのおすすめポイント:

2007年に日本の映画祭でいち早くプレミア上映され、グランプリを獲得した本作。香港でも高い評価を受けたデレク・クォック監督の長編デビュー作です。当時、香港映画ファンの間で話題になった本作ですが、日本公開にはならず。それが、2025年にやっと公開されることになったのは、主人公の少年が日本でも大人気のK-POPグループ、SEVENTEENのメンバーJUNくんだから。今や妖艶な美しさの美青年ですが、人気子役だった当時は愛くるしい少年でした。しかも、本作のような複雑な背景を持つ少年役を見事に演じています。最優秀新人俳優賞受賞も納得の存在感で、俳優としてのJUNの原点を垣間見ることができます。共演はイーソン・チャンとジア・リン。少年の父親役をジョージ・ラムが演じ、香港音楽界で活躍するトップスターと大御所が共演しているのも見所。エリック・ツァン、スーザン・ショウと実力派俳優陣に、当時はロレッタ・リーとして有名だった女優レイチェル・リーも登場し、香港映画ファンにはたまらない布陣です。一方で、ノワール風なストーリー展開ながら、少年目線の幻想や異世界に、星空や遊園地、雨が降ると開く紙屑の花などなど…ファンタジックな演出も効いています。少年がステージで歌う母の好きだった曲「You Right Up My Life」(映画『マイ・ソング』のテーマ)も懐かしく、歌詞の内容が主人公たちの心情とマッチして深い余韻を残します。

p3p4

p5p6

p7p8

p9p10

p2

▼公式サイト ▼予告編