シンガポール産映画の
世界市場制覇も夢ではない?
2004年6月30日
今回は、ポップカルチャー・シーンにおいて今ひとつ影が薄いと思われているシンガポールの現状を、映画制作の面からレポートします。
シンガポールの大手製作会社といえばMediaCorp Raintree Pictures。シンガポールのテレビ局Mediacorpの関連会社として1998年に設立されました。1999年に最初の映画として、コメディアンであり映画監督でもある梁智強(ジャック・ネオ)が老婆に扮して騒動を巻き起こすコメディ『梁婆婆重出江湖/Liang Po Po-The Movie』が公開され、ヒットしました。
その後も香港・台湾・シンガポールの監督や俳優を起用した『真心話/The Truth about Sam and Jane』(監督:デレク・イー、主演:ファン・ウォン、ピーター・ホー)、『公元2000/2000AD』(監督:ゴードン・チャン、主演:アーロン・クォック)などを立て続けに発表し、香港・台湾の映画賞を多く獲得するようになって来ました。
2001年には英語文化圏である強みを生かして英語映画を製作。隣り合って反目しているチキンライス屋台の息子と娘が恋に落ちるコメディ『チキンライス・ウォー/Chicken Rice War』(監督:チーク、主演:ラム・マイ・ミー)は、トロントやマイアミの映画祭で受賞しました。他にもサスペンス・タッチの中国語映画『孩子・樹(The Tree)』では、主演の呉鎮宇(フランシス・ン)が台湾の金馬奨主演男優賞を獲得。また、同年には草サッカーにかけるおじさんたちを描いた二本目の英語映画『ワン・レッグ・キッキング/One Leg Kicking』も公開されています。
2002年、超受験国家シンガポールの現状を、落ちこぼれ小学生三人を中心にコミカルに描いた『小孩不笨/I Not Stupid』はシンガポール国内で熱烈に歓迎されたのみでなく、香港・台湾・中国でも上映されました。また、ホラー『見鬼/THE EYE』と続編の『見鬼II/THE EYE II』はアジア地域で大きな興行成績をあげました。
2003年には、ワーナー・ブラザース初の中国語映画『向左走、向右走/Turn Left Turn Right』(今秋日本公開予定)を共同制作し、これまたシンガポールの歌姫孫燕姿(ステファニー・スン)の歌うテーマソングとともにヒットしました。前作『無間道/Infernal Affair』の大ヒットを受けて、Media Asiaと共同制作した『無間道 II/Infernal Affair II』(9月日本公開予定)も話題作となりました。
そしてとうとう、イラン映画『運動靴と赤い金魚』をリメイクした『[足包][口巴]、孩子/Home Run』で、妹役を演じた子役の女の子が台湾金馬奨にてシンガポール人初の最優秀新人賞を受賞しました。
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