多民族国家シンガポールの多種多様な
文化の根源が一同に会した博物館。
2004年7月15日
シンガポール中心部、City Hall周辺はその昔の英領植民地時代に建てられたコロニアル様式の様々な建築物が立ち並んでいます。
その中のひとつが、英国ヴィクトリア女王の名をとってつけられたエンプレス・プレイス。もともとは19世紀半ばに植民地政府庁舎として建てられ、1965年8月9日のシンガポール共和国独立後は入国管理局として使用されてきました。その後、1989年にエンプレス・プレイス博物館として1995年まで開放され、その後は大々的な改修工事に入り、2003年3月にアジア文明博物館(Asian Civilisations Museum)の新館として再スタートを切りました。
アルメニアン・ストリートにあるアジア文明博物館は、マレーシアからシンガポールにかけて広まった独自のペラナカン文化(移民した中国人と土着のマレー人の文化が交じり合ったもの)を中心とした展示であるのに比べ、こちらエンプレス・プレイスの方ではシンガポールを構成する主要な民族(中国系、マレー系、インド系)のルーツである文化を中国、東南アジア、南アジア、西アジアの四部門に分け、それぞれたくさんの貴重な陳列品と共に展示しています。
ただ展示しているだけではなく、館内のあちこちにある液晶スクリーンに触れると、総勢16人のバーチャル・ホストが入場券のバーコードから情報を読み取り、一人一人の見学のペースにあわせてそれぞれの文化について説明してくれる、という最新鋭の設備もあります。
数ある展示品の8割が、今回初めて一般に公開されたものばかりですが、圧巻なのは今まで個人所蔵だったものが博物館に寄付され、日の目を見たコレクション。特にインドネシア・マレー系の王族の装飾品の精巧な金細工の数々や、中国の唐三彩や文房四宝、翡翠の仏像などで埋め尽くされた部屋を見ると、シンガポールのお金持ちの財力というものに圧倒されてしまいます(笑)。
また、4歳から14歳までのお子様用には、各ギャラリーに専用のスペース(ACE)が設けられ、ラーマーヤナの登場人物の善悪をクイズ方式で答えたり、イスラム式書道の実体験や香料の匂いをかいだり、道教の神様の説明を受けたり、ガムランの楽器の音を聞き分けたりなど、楽しみながら五感で学習できるようになっています。
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