まもなく年に一度のお墓参り「清明節」
2005年3月15日
まもなく4月。日本では入園・入学・入社と新しい生活がスタートする「年度」の始まりですが、中国では4月といえば「清明節(チン・ミン・チエ)」。お墓を浄め、先祖供養をします。
ご存知の方も多いかと思いますが、中国では多くの行事を旧暦で行っています。清明も同様に春分から15日目(冬至から106日目)の新暦4月5日または6日にあたり、現在はこの日が祭日であるため、4月5日を清明節と定めています。清明節の起源は古く、春秋時代にはもうあったらしく、魏の時代にはすでに旧暦3月3日を清明節と定めていたようです。
中国では一般的に、日本のように命日に家族みんなで墓参りをする習慣がないため、この日はまさに民族大移動。お墓参りに向かう人で、汽車もバスも大混雑となります。
上海では、杭州や蘇州にお墓がある場合が多いので、3月になるともう、それぞれの墓苑へ向かうバス・チケットの広告があちこちで見かけられるようになります。どこの団体旅行かと思わせるようなバスの行列が、皆お墓へ向かって走っていくのです。当然、道路も混雑します。トイレの問題なども出ます。そこで新聞では、交通情報や墓苑のトイレ情報などを載せるものも少なくありません。
お墓に着くと、お供物をして線香をあげ、紙銭(お金にみたてた紙)を燃やし、爆竹を鳴らします。この紙銭は、あの世に行っても暮らしに困らないように、と冥土で使ってもらうように燃やすのです。
近年、爆竹が環境汚染につながる、ということで春節や清明節が近づくと自粛を呼びかける声があちこちから出るのですが、この習慣はなかなかやめることができません。中には爆竹の音を商品化した会社もあるぐらいですが、なかなか普及はしないようです。また、紙銭を燃やすことによっておこる火災も少なくないため、伝統行事であり、先祖を祀る大切な日でありつつも社会問題は深刻化しています。
あの世へ持っていってもらうもの、といえば、葬儀の際に燃やすものにこんなものたちがあります。
多くは紙でできていて、中にはビニールなどで精巧に作られたものもあります。まずは家。やはり住むところは重要です。紙でできた家の中には、もしかすれば生前には家の中に無かったかもしれない豪華な家具や電化製品などもすべて整い、何不自由無い暮らしができるようにとの願いが込められています。
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