明日はあなたがスーパースター?
ファンも熱い、オーディション番組花盛り
2006年7月18日
隣の席の普通の女の子が、ある日突然シンデレラになっていた…。こちら中国でも、明日のスーパースターを目指して若者が参加する、オーディション番組が花盛りです。
オーディション番組そのものは、昨日や今日に始まったものではありませんが、今のブームの火付け役となったのは、湖南省のテレビ局・湖南衛視の番組『超級女声』。2004年に始まったこの番組、文字通り女性スーパーボーカリストを発掘するもので、初年度の評価はさほどのものではありませんでした。
ところが、2005年のオーディションが始まって、状況は一変します。このオーディションの特徴は、審査員だけでなく視聴者の声が反映されること。視聴者は事前に登録するだけで、携帯電話のショートメールから投票をすることができ、その票数が結果を左右するのです。
日本でも、まだ駆け出しのアイドルを「自分たちが育てあげる」という感覚で支え続ける「コアなファン」が多数存在しますが、同様に、この番組でもたくさんの「粉絲*」(フェン・スー)が団結して「拉票*」(ラー・ピャオ)のために走り回り、自分たちの支持する選手をスターにのしあげようと盛り上がりました。この決勝戦で送られたショートメールの数は、800万本とも言われています。
こうして優勝した李宇春(リー・ユーチュン)は、アメリカの雑誌『TIME』の表紙を飾るほどに話題になりました。2位の周筆暢(チョウ・ビーチャン)もすでに、自作曲を含むCDを発売したり、映画に出演したりとひっぱりだこです。この番組の成功により、ますますオーディション番組が注目されるようになりました。
今年一番盛り上がっているのは、上海東方衛視の『加油!好男児』。男性スターを選ぶオーディション番組です。こちらは歌手ではなく「いい男っぷり」を競うもので、地区予選では中年層の男性も参加したりと、話題を欠くことがありません。ここでも携帯電話による視聴者の投票があり、たくさんのファンに支えられた各地のイケメン青年陣が、さまざまな課題をこなしながら頂点を目指しています。
宋暁波(ソン・シャオポー)選手は、聴覚障害を抱えながらも、上海ベスト5に残りました。中国健康快車基金会の「光明大使」を務める女優の孫儷*(スン・リー)が、その様子を見て、彼のお母さんの白内障治療に協力。この番組は、娯楽面だけでなく社会的にも注目されています。
これらの異様なまでの盛り上がりは、これまで、大陸におけるアイドル的アーティストの存在が皆無に等しかったからかもしれません。実際、若者が好む中華系アーティストの多くは香港・台湾の人々です。これからは皆「国産アイドルスター」にゾッコン!となっていくのでしょうか? 近い将来、日本を席巻することになるかもしれない彼ら・彼女たちに、目が離せません。
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