新しい年に備えて冬の間に体を作る
「冬季進補」−膏方にチャレンジ
2006年12月13日
「陰陽」の考え方によれば、冬至を過ぎたあたりから自然界の陰気が減り、陽気が増してくるそうです。この時期に、陽気を体に溜めるように心がけ、栄養を補ってやれば、新年(春)が過ぎ暑い夏を迎えても、病気を心配することはないといいます。その補う栄養は食べ物だけでなく、生薬でできたお薬から摂ることもあります。今回は、そのお薬「膏方」(ガオファン)をご紹介します。
膏方の「膏」は、薬やエキスなどをペースト状にしたもののことで、年中手に入る市販品もありますが、この冬の時期に飲む膏方は特別で、完全なるオーダーメイド。慢性疾患の治療、体力増強、健康増進などによいとされています。
立冬を迎える頃から、中医学系の病院では、予約制の膏方専門外来が登場します。特に上海を含む江南地方では、この膏方で体を補う習慣が盛んで、どの病院もいっぱいになります。私は消化機能に難があり、また肥満体質で高血圧であるため、今回は消化機能を補いながら、これらの症状を改善するための処方をしていただきました。
処方箋ができあがると、これを元に、いよいよ膏方を作ってもらうわけですが、これは大変根気の要る作業だとか。症状にもよりますが、一般的には20〜40種類程度の生薬と膠類、そして氷砂糖などの糖類を加えて作られます。その工程は、まず生薬を煎じた煎液を煮詰めていき、さらに亀板膠などの膠類と糖類を加え、さらに煮詰めてペースト状に仕上げるというもの。
生薬を煎じるのは、1回ではなく3回は行われるそうで、煎じては濾すという作業と共に、焦がさないようにする熟練の技が必要とされます。ですから、一度に多くを作ることはできないのですね。私の膏方の場合は、生薬は当帰、桃仁、決明子、葛根、西洋人参などなど30余種が用いられ、氷砂糖の代わりにキシリトールが使われました。
待つこと約3週間、見た目は海苔佃煮のような膏方ができあがりました。病院から家までの道中、袋から甘めの漢方薬のにおいがぷんぷんしていましたが、今回1回分ずつの個別包装にしてもらったのでとても便利。これを冬至から立春までの期間に飲み続けます。
●今回かかった費用(参考)
・診察費:100元
・膏方のための材料費:1462元
・加工費:221元
*材料費にはかなりの個人差が出ます。加工費は、個別包装にした場合の価格です。
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