ブタブタ金ブタ 幸せいっぱいブー!
2007年2月15日
中国は日本と同様に太陽暦を採用しているものの、旧暦による民俗習慣が今も生活を色濃く彩っています。例えば、中秋節(旧暦8月15日)や春節(旧暦1月1日)などはとても重視されていて、中秋節は休日にはなりませんが、必ず家族や親族が集い、団らんのひとときを過ごします。
さて、暦の上で春の始まりを告げる「立春」。たまに、これが春節より先に過ぎてしまうことがあり、その年は「春の来ない年」という意味で「無春年」と呼んでいます。別名が「寡婦年」(※1)であるため、結婚するには縁起の悪い年とされています。最近では2005年の酉年がそうで、翌2006年は春が2回やってくる「双春年」だったため、婚姻ラッシュで一年中賑やかでした。
※1:「無春年」に結婚すると女性は夫に先立たれる、という迷信による。起源ははっきりせず、漢の時代、また清の時代とも言われている。
ちなみに、2007年も立春が先に来てしまうものの、2008年の春節を迎える前に立春が来るので、春はちゃんとやって来るということで問題なし。おもしろいことに、若い世代の高学歴の人々の中でも、これらの習慣や思想が浸透しており(都合のいい解釈もありますが)、時にそれが不思議なブームを起こしたりします。その1つが、2007年の「金猪(金の豚)」(※2)ブームなのです。
※2:中国では「猪」はブタ、イノシシは「野猪」と書く。
この年に生まれた子どもは幸運に恵まれるというので、すでに我が子を金猪生まれの子にしようと、出産計画を立ててきた夫婦は数知れず。病院もその出産の予約で、いっぱいになっているところが少なくないそうです。
では何が「金」なのでしょう?「丁亥(ひのとい)」年は「金」の年と言われているものの、十干でみるとこの年は「金」ではなく「火」の年。本来「金」の年は「辛亥(かのとい)」になります。となると、十干から来た話ではないことは明らか。ただ、それを知ってか知らずか、世間では「60年に1度の金猪の年」として、金にちなんだいろいろなものを大々的に売り出しています。
ならば、本当の「金猪」の由来はどこにあるのでしょう? 定説はないようなので、ネットで検索してみたところ、山西大学人文社会科学学院副院長の王志中氏が書かれた『金珠瑞現 只求長安』という文章の中で、やっとそれを見つけることができました。すべて書き出すと長くなるので割愛しますが、話は唐の時代にさかのぼります。
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