●ミシェールさんはその素晴らしいキャリアの中で人と人とのつながりや、縁の大切さを感じることがたくさんあると思います。プロデューサーとして、また主演として、この作品と巡り会ったことをどのように感じていますか?
ミシェール「私は運命を信じています。毎日が神様からの贈り物で、よいカルマや運命は誰かに引き合わせてくれる。起こることのすべてに意味があると思いますが、最も大切なのは自分自身でそれに立ち向かうことです。実は先週は私にとって、とても重要な週でした。津波被害が大きかったインドネシアのバンダアチェを支援するコンサートが、マレーシアで開かれたのです。Force Of Nature の主催で、渡辺謙さんも参加するためにマレーシアへ来てくれました。皆がこうして集まったのも運命でしょう。このようにいいご縁で皆が集まり、お互いに助け合いを続けていくことができればと願いますし、それが私たちにできる最善の方法だと思います。」
ここで会見が中断され、日活スタッフが独自に調査した「日本に眠る三蔵法師の遺骨」VTRを上映。ミシェールも一緒に鑑賞しました。(*内容は右記参照)
●このようにとてもご縁のある日本で、この映画が公開されることをどう思われますか?
ミシェール「(驚きながら)びっくりです! スタッフの方たちがわざわざ調べてくださったんですね。どうもありがとう。私たちもリサーチはしました。まずストーリーを組み立てる上で、どの遺骨をテーマにしたらいいかを考えました。三蔵法師は素晴らしい旅をしていますし、映画の中でも主人公たちが自分を求めて旅をしていくので三蔵法師に決めました。また、孫悟空が出てくる『西遊記』は、アジアだけでなく西洋でもとても有名です。ただ残念なことに、皆さんは表面的なことしかご存じないんですね。でも、今日はきれいな円ができたような気がします。中国で始まったことが一つの輪になったような。本当に素晴らしいです。ありがとう。」
●音楽も大変素晴らしかったです。『ロボ・コップ』や『スターシップ・トゥルーパーズ』の音楽を作ったベイジル・ポールドゥリスが、今回初めてオリエンタルな曲を作っています。どういう経緯でオファーされたのでしょうか?
ミシェール「とてもいいご趣味ですね。彼は『レッド・オクトーバーを追え!』もやっています。彼はアメリカではもう長い間、優秀な作曲家の一人です。あまりに有名なので、実は彼にギャラを払える予算はなかったのですが、お会いしたら、彼の方から作品に興味を示してくれたのです。最初に物語を説明した時に、彼自身が特にシルクロードや三蔵法師にとても興味を持ち、また我々の情熱に感動してくれたのです。東洋と西洋のいいものを映画の中で合わせよう、という映画のコンセプトにも共感してくれました。
この作品はアート・フィルムではなくて、ファミリー・ムービーです。かといって漫画チックなものではなく、アドベンチャーであり、心の暖まる作品だと自負しています。こういう作品が成功するには、物語にぴったりと合った素晴らしい音楽が不可欠です。彼は脚本を読んで、自分からこの映画に参加したいと言ってくれました。また、自分で東洋の音楽や楽器をリサーチし、撮影中はグージョン(古箏?)やチーパウといった楽器を、自分で練習をするほどの思い入れの強さでした。」
●津波のチャリティ・コンサートですが、参加の経緯と、どのようなことをされたのかを教えてください。
ミシェール「Force of Nature(自然の力)という団体のもので、(着用している団体のネックレスを指して)手がシンボルになっています。私たちの周りの自然の力というのは脅威ですが、同時によい自然の力にもなりえます。人間の精神も力になると信じています。
Force of Nature は、自然災害の被害者たちを救援している団体です。今回、日本で福岡や佐賀の大きな地震のニュースを見て心を傷めていますが、大切なのはニュースの見出しにならなくなった後です。その後も被災地の方には支援が必要なので、ニュースにならなくなっても、忘れてはいけません。今回は初めてマレーシアで開かれたチャリティ・コンサートで、ブラック・アイド・ピーズ、ボーイズ・トゥ・メン、バック・ストリート・ボーイズ、ローレン・ヒルといった素晴らしいミュージシャンが出演しました。
また、私は Force of Nature の大使をやっているので、率先して現地へ行き支援をしています。この後も、スリランカやモルジブでコンサートの予定があります。日本からの支援も盛んに行われているので、皆さん誇りに思って下さい。」
●『レジェンド』は東洋と西洋が融合したダイナミックな映画ですが、国際的に活躍するミシェールさんが、次にチャレンジしたいものを教えてください。
ミシェール「映画を楽しんでいただいて、とてもうれしいです。この映画では東洋と西洋のいい部分を合体させようと努力しました。それはとても難しいことでした。映画はユニバーサルランゲージとして、言葉の違いを超えて理解されるものだといいますが、まったく違う2つの文化を映画の中で描いていくことは困難ですし、同じレベルで皆さんに理解してもらうことはとても難しいと思います。ですが、中国の風景と人々の物語や気持ちといったものがうまく合わさって、よいものになったと思います。
将来についてですが、正直にいうと、私には大きなプランや人生設計はありません。香港で初めて女優になった時も、いつかハリウッドに出て国際スターになりたいとは思っていませんでした。それは単に巡ってきたことなのです。私は運命を信じていますから。ですが、チャンスが巡ってきた時には、準備をして、全身全霊をかけて両手で掴んで、ベストを尽くすことが大切です。その後は、天に任せるしかありません。
考えてみれば、この場で皆さんと一緒にいることも得難いことです。皆さんが同じ部屋に一緒にいて、私が心を込めて作った作品を気に入ってくださり、私の顔を見てニコニコ笑って質問してくださるのはとても幸せなことですし、これもなにかのご縁だと思います。ほんとうにありがとうございました。」
プロデューサーとして映画製作にも乗り出したミシェール。その凛とした美しさの中に、国際女優の風格と大人の女性としての優しさや強さが加わり、ますます輝いていました。昨年、リッチー・レンと共演したプロデュース作第2弾『シルバーホーク(原題:飛鷹)』の日本公開も年内に予定されているので、楽しみに待ちましょう。
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