logo


ASICRO FOCUS file no.21

『レジェンド/三蔵法師の秘宝』記者会見

p1

初プロデュース作品の宣伝で来日したミシェール・ヨー

2005.3.22
新宿パークハイアットホテル(東京)にて

 アクション女優としてだけでなく、演技派女優としても国際的地位を築いているミシェール・ヨー(楊紫瓊)。その彼女が初めてプロデュースに挑んだのが、アクション大作『レジェンド/三蔵法師の秘宝』(原題:『天脈傅奇』)です。

 『グリーン・デスティニー』の撮影監督として香港人初のアカデミー撮影賞を受賞したピーター・パウを監督に、ベン・チャップリンやリチャード・ロクスバーグなどハリウッドで活躍する西洋人俳優たちやスタッフも交えて、東洋と西洋が融合した世界に通用する映画を、というコンセプトで作られた野心作。16日からの公開に先立ち、先月プロモーションで来日したミシェールの来日記者会見の模様をお届けします。


まずはご挨拶から。

 ミシェール「本日はお忙しい中、『レジェンド/三蔵法師の秘宝』の記者会見にこんなにたくさん来ていただき、本当にありがとうございます。この作品は私が主演しただけでなく、初めてプロデュースした作品です。従って、思い入れもその分大変強いです。この作品を今回、日本で公開できること、そして皆様にご覧いただけることを、大変うれしく思います。」

これより質疑応答:

●今回は主演だけでなくプロデュースもされました。プロデューサーとして苦労された点は? また、ご自身のプロダクション名『ミシカル・フィルムズ』の由来は?

 ミシェール「プロデューサー業には危機管理の能力が必要だと実感しました。この作品を作るにあたり、リサーチを大変入念にやりましたし、脚本を書くのにも苦労しました。そして、なんといっても、監督のピーター・パウが満足してやってくれるものを作りたいと思いました。

p2
 実はこの作品に入る直前、私もピーター・パウも『グリーン・デスティニー』を撮り終えたばかりだったので、もう少し明るいタッチのものを作りたいというのが共通の思いでした。それに、なんといっても、中国には美しい風景があることを全世界の人に見ていただき、映画の中で紹介したいと思いました。同時に、中国にも英語を話す人がたくさんいるということも、皆さんに知ってほしかったのです。それで、キャスティングにはベン・チャップリンなどいろんな方を起用しました。

 幸い、今回は中国政府がとても協力的で、チベットや敦厚、シルクロードでの撮影を許可してもらえました。最終的には北京に大きなセットを作って撮影することもでき、大変うれしく思っております。

 プロダクション名についてですが、ミシカルというのは神話という意味です。なぜこの名前にしたかというと、私自身が神話や伝説、魔法を信じているからです。そして、映画はまさにこれだと思っているので『ミシカル・フィルムズ』にしました。だからこそ、最初の作品もそういう物語になっています。神話を信じて、伝説を信じて、最終的には自分自身を信じるということにつながっていく。物語の流れはそういう風になっています。」

●キャスティングはどのようにして決めたのですか? また、危険なシーンがたくさんありますが、特に苦労して撮られた場面は?

 ミシェール「キャスティングは通常通りで、まず脚本を作り、その脚本に描かれている役にぴったりな人を探しました。私の相手役となるエリック役は、自信を持った男性でなければならないと考えました。なぜなら、基本的に私の方が強いからです。映画の冒頭の彼はふざけていて、かわいくて好感が持てますが、ドジなところもあり、闘うとあまり強くありません。そういう女性よりちょっと弱い役でも率先して引き受けてくださるのは、自分に自信を持っている俳優さんです。

 リチャード・ロクスバーグは『ムーラン・ルージュ』を見てこの役にぴったりだと思い、出演をお願いしました。どのキャストもそうですが、今回はアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパでも十分に通用する俳優さんということを考えてキャスティングしています。

 この映画でもっとも目を見張るのは、なんといってもチベットのシーンで、実際の撮影でも大変苦労しました。まず、とても高度が高いので、最小限の撮影クルーが高山病にかかってしまいました。また、湖が凍るほどの低い気温と薄い空気の中で、アクロバットなシーンを撮らなくてはならないので大変苦労しました。映画のクライマックス、地面が火の海の中に立つ大きな石柱の間で、ワイヤーアクションをするシーンですが、自分のキャリアの中で最も危険な事故に遇ってしまいました。ワイヤーに絡まってしまったのです。が、幸いなことに、今はこのように元気で皆さんの前に立っております。」

●アクション女優として活躍されていますが、普段はどういうトレーニングをしていますか?

p3

会見後のフォトセッションはこんな感じで。
 ミシェール「毎日トレーニングしています。それは私のライフスタイルの中に組み込まれています。朝起きた瞬間からトレーニングが始まります。ベッドの中でストレッチをやり、歯を磨きながらスクワットもしますし、キックの練習もします。よく時間がないからジムに通えないという人がたくさんいますが、それは言い訳だと思います。私は絶対にそういうことは言いません。日常生活の中に組み込んでいけばいいのです。

 今回、日本に来る前にはマレーシアにいて、香港に寄ってから来ました。その気になれば、私も時間がないと簡単に言えるのですが、絶対に言いません。なぜなら、私自身が自分の生活の中でできるエクササイズを考えて実践しているからです。例えば、飛行機の中でするエクササイズ。ホテルの部屋でできるもの。タクシーの中でやるもの。脚本をたくさん読まなければならないので、脚本を読んでいる時にできるエクササイズ…などなど、全部考えて出して、それに合わせてやっています。

 もちろん、撮影の直前や撮影中は集中的に、特にスタント・コーディネータのチームと共にトレーニングを進めます。スタント・チームとのトレーニングはとても重要です。私に何ができて何ができないか、どういう動きが得意か、というのを彼らにわかってもらうことは、とても重要なのです。お互いの限界がわかれば、お互いを駆使しあって、お互いの能力をより高めることができます。

 同時に、その映画で使う特定の武器または動きに、マーシャルアーツのどんなスタイルを使うか、そういうことも組み込んでトレーニングをしていきます。例えば『レジェンド〜』の場合、よくスカーフを武器として使いました。ですから、この演技の時には、あえてムチや布切れをつかってトレーニングをしました。」

続きを読む ▼記者会見1 ▼記者会見2
更新日:2005.4.13
●back numbers

記者会見の表記
司会・質問者
ミシェール
(ミシェール・ヨー)
●profile  
ミシェール・ヨー(楊紫瓊)

1962年8月6日マレーシア・ペラック州イポー生まれ。4歳からバレエを学び、ロンドンのロイヤル・アカデミーに留学。帰国後、84年と85年にミス・マレーシアに選ばれている。
84年にジャッキー・チェンとCMで共演。サモ・ハン・キンポー監督作『デブゴンの快盗紳士録』でミシェール・キングとして映画デビュー。その後、カンフーの特訓を受け、アクションスターとして活躍する。
88年に結婚・引退するが、4年後に離婚。92年に「ポリス・ストーリー3」でカムバック。その後、『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』『グリーン・デスティニー』で国際女優としての地位を固め、話題のハリウッド映画『SAYURI』にも出演。
●フィルモグラフィ
1984
・デブゴンの快盗紳士録
1985
・生死線
・レディハード/香港大捜査線
・皇家師姐2之皇家師姐
・七福星
1987
・皇家戦士
・チャイニーズ・ウォリアーズ
1988
・通天大盗
(一時引退)
1992
・ポリス・ストーリー3
1993
・新流星蝴蝶剣/秘術VS妖術
・ワンダーガールズ/東方三侠
・ワンダーガールズ2/東方三侠2
・プロジェクトS
・マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限
1994
・詠春拳
・ファントム・セブン/香港機動警察
・笑林小子2 新烏龍院
1996年
・スタント・ウーマン/夢の破片
1997
・宋家の三姉妹
・007/トゥモロー・ネバー・ダイ
1999
・もういちど逢いたくて
2000
・グリーン・デスティニー
2002
・レジェンド/三蔵法師の秘宝
2004
・シルバーホーク
2005
・SAYURI