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ASICRO FOCUS file no.33c

「SPL/狼よ静かに死ね」来日記者会見

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武術で結ばれた3人の絆は固い。

●アクションをつける時のお二人の魅力はどこでしょう?

 ドニー「ウー・ジンはもともと武術に長けています。サモ・ハンさんは私にとっては大先輩で、これまでにも香港映画の数々の名作に出演なさっています。今回、お二人を演出する上での最大のポイントは、いかに斬新さを引き出すかということ。中でも一番難しかったのは、サモ・ハンさんの演出でした。大先輩ですから、これまでのイメージを活かしながら、私自身の持ち味も組み入れてアクションを作っていきたいと思いました。そこで、サモ・ハンさんの出演作をたくさん観て、そこからもヒントを得ました」

●そのアクションについて、お二人はいかがでしたか?

 サモ・ハン「ドニーとはかなり前からの知り合いですし、ウージンも数年前から知っています。なので、今回『SPL』で共演できたことはうれしかった。自分が出演した作品はどれも大切ですし、丁寧に撮っています。映画の中では、監督やスタッフから学ぶこともあります。よく周りから大先輩とか師匠(マスター)とか言われますが、自分はいつも謙虚な心やわくわくする気持ちを忘れないようにして、若い人たちの素晴らしさを学ぶつもりで現場に臨んできました。二人とは初めの共演ですが、『SPL』が素晴らしい作品に仕上がってほんとうによかった。自分としては、これからも若い人たちと仕事をして、若い力を吸収しながら、自分も若返っていきたいと思っています」

 ウー・ジン「私は子どもの頃から、サモ・ハンさんやドニーさんの映画を観て育ちました。友だちとの喧嘩で、お二人の技を真似して鼻の骨を折ったこともあります(笑)。今回はお二人と共演できて素晴らしい経験になりました。吸収できるところはスポンジのようにたくさん吸収し、今後の自分の演技に活かしていきたいと思います。ドニーさんとの対決シーンの演出には、音楽のようなリズムがありました。サモ・ハンさんとの対決シーンはなかったので、それだけが残念です」

●タイ映画『マッハ!』の影響があったと聞いてますが、日本の映画はいかがですか?

 ドニー「『マッハ!』はたしかに世界的にも大ヒットした作品です。中国の映画人としては、外国の映画人と競走関係を作り、映画産業に貢献していきたいと強く思っています。日本映画にもアクション映画や素晴らしいアクション俳優の方がたくさんいますが、今まで共演したことのない方と仕事をしてみたいです。ご縁があれば、いつか必ず共演できる機会があると信じています」

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黒社会の大ボスを演じるサモ・ハン。
●もう30年くらいアクション映画をやっていらっしゃいますが、今回の体の動きはどうでしたか?

 サモ・ハン「これまでの作品と『SPL』とでは、自分の動きの数でいうとあまり変わらなかったと思います。以前の作品には、ジャッキー(ジャッキー・チェン)やユン・ピョウが闘うシーンもたくさんあるので、アクションシーンの割合としては同じくらいです。ドニーはとても思いやりがあるので、あまり大変なシーンは撮らせてくれませんでしたが」

 ドニー「私じゃなくて、サモ・ハンさんに思いやりがあるんです。でなきゃ、私は今頃病院にいるはずです(笑)」(場内笑)

●今回、初めて悪役をやられた感想は?

 サモ・ハン「私は長年俳優をやってきましたし、監督もやってきました。自分でシナリオも書いてきました。いつも思っているのは、重要なのは演じるのが善玉か悪玉かではなく、映画が面白いかどうか、人の心に迫るものがあるかどうか。それが一番大切です。善玉をやっても、すぐに忘れられてしまうようなキャラクターでは意味がない。今回は悪役をやりましたが、自分の演技を磨くという面でとてもいい経験になりました」

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花束贈呈で登場した釈由美子と共に。
 質議応答はここで終了。

 続いて、かつて『修羅雪姫』でドニーにアクション指導を受けた女優の釈由美子が登場し、3人に花束を贈呈しました。司会者の質問を受けて、ドニーが来日した時は食事やデートをしていると話すと「秘密をばらさないで(笑)」とドニー。撮影時のエピソードや3人への印象を披露しました。

 奇しくも『SPL/狼よ静かに死ね』、『SPIRIT』、『THE MYTH/
神話』と、マーシャルアーツ界を代表する5人の主演作が、同時に公開されているこの時期。それぞれの作品を見比べて、その持ち味の違いを堪能してみるのもいいかもしれません。


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更新日:2006.3.21
●back numbers

イベントの表記
司会・質問者
ドニー(ドニー・イェン)
ウー・ジン(ウー・ジン)
サモ・ハン(サモ・ハン)
●サモ・ハン
洪金寶/Sammo Hung
1949年12月11日、香港生まれ。10歳で中国戯劇研究学院に入学。京劇や様々な芸を学ぶ。学院ではジャッキー・チェンやユン・ピョウなど優秀な生徒を集めた「七小福」に選ばれリーダーとして活躍。13歳から子役として映画にも出演。71年にゴールデン・ハーベストに入社して、スタントマン兼武術指導としてキャリアをスタートさせる。日本ではデブゴンシリーズで一躍人気者に。以後、俳優、監督、製作者としても活躍を続けている。
90年代以降の代表作:
・鬼喰う鬼(90)
・98分署/
 香港レディ・コップス(90)
・燃えよデブゴン/出世拳(90)
・炎の大捜査線(91)
・カンフー・カルト・マスター
 /魔教教主(93)
・ジョイ・ウォンの魔界伝説
 (93)
・金城武の死角都市・香港
 (95)
・野獣の瞳(96)
・スタント・ウーマン
 /夢の破片(96)
・ナイスガイ(97)
・無問題/モウマンタイ(99)
・拳神/KENSHIN(01)
・天上の剣(01)
・ファイターズ・レガシー
 (02)
・大阪プロレス飯店(03)
・80デイズ(04)
・ドラゴン・スクワッド(05)
・SPL/狼よ静かに死ね(05)
関連サイト
洪金寶的世界(公式サイト)
●ウー・ジン
呉京/Wu Jin
(ジェイソン・ウー)
1974年4月3日、北京生まれ。北京体育大学卒。父も祖父も武術家で、6歳で北京武術隊に所属。86-91年に4度武術チャンピオンとなっている。91年にユエン・ウーピン監督に見い出され映画デビュー。TVシリーズにも多数出演し「第2のジェット・リー」として中国の人気スターに。
filmography:
・マスター・オブ・リアル・
 カンフー/大地無限2(95)
・功夫小子闖情関(96)
・蜀山正傳(2000)
・天上の剣(01)
・超醉拳(02)
・SPL/狼よ静かに死ね(05)

drama:
・太極英雄(97)
・新少林寺(97)
・新水滸後傳(98)
・小李飛刀(99)
・大人物(2000)
・乱世桃花(2000)
・策馬嘯西風(2000)
・梁山小英雄(2000)
・金蠶絲雨(01)
・江山儿女几多情(01)
・大欽差之皇城神鷹(01)
・少林武王(01)
・新チャイニーズ・ゴースト
 ・ストーリー(02)
・江山為重(02)
・南少林(02)
・絶命鴛鴦(03)
・古靈精怪苗翠花(03)
・SHAOLIN 少林寺三十六房
 (04)
・美人如玉劍如虹(04)
・誰為我心動(04)
・侠影龍刀(05)