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ASICRO FOCUS file no.111

F4 Japan Tour 2008 レポート

F4

*写真提供:F4 JAPAN TOUR 2008 公演事務局

 日本のファンが待ちに待ったF4の来日公演が、横浜、東京、大阪で開催されました。F4としてのコンサートはこれで4度目。デビュー当時の2001年に台湾で開催された「Music Party」、アジア各地で大ブレイクし、2002年末から2004年までに随時開催されたワールドツアー「F4 Fantasy」、そしてメンバーのソロ活動が中心となり、これがファイナルとも噂された2006年の香港での「F4 Forever 4 2006」。しかし、アジアの中では最も遅く注目されたおかげで(苦笑)めでたく日本での初ライブが、これまでとは異なる新しいスタイルで開催されたのでした。

 当然のことながら、本公演のチケットは即完売。当初、予定されていた3公演に、横浜2回、大阪2回と3度も追加公演が発表され、長年のファンから新たなファンまで、アジア各地から大勢のファンが詰めかけるという国際色豊かなコンサートとなりました。その本公演の初日、10月7日の日本武道館公演を取材することができましたので、ご紹介します。

 総合演出にBugs Under Groove のTETSU氏を迎えての今回のコンサートは、なるべくたくさんの人たちが近くで楽しめるようにと工夫された、4面構成の特設ステージ。アリーナ中央にメインステージが設けられ、東西南北に伸びた花道の先にも小さなステージ。その間をアリーナ席の観客が埋め付くし、さらに上下に動くリフターによって、スタンド席の観客もメンバーを近くで観ることができるようになっています。メインステージの上には巨大な4面スクリーン。F4の輝ける軌跡をダイジェストしたLEGENDの映像から、いよいよコンサートがスタートします。

 まずは、東西南北のサブ・ステージに白い4つのドームが出現。四神となっていた4人の男たちが石像から抜け出し、それぞれ予告された方角のドームから登場します。大歓声に包まれながらのオープニングは、新曲「Waiting For You」。歌いながら中央へ集まったメンバーがメインステージに4人で並ぶと、さらに大きな歓声が。この姿に胸を熱くし、感慨深く見守ったファンも、きっと多いことでしょう。

 やや高くなったメインステージへ、頭上の液晶スクリーンが降りて来てステージを覆い尽くすと、なんとその場で衣装替え。黒イメージから白イメージへと鮮やかに変身した4人に、ダンサーたちも登場して「Ask For More」。続く「Can't Help Falling In Love」で、それぞれがまた4つのサブステージへ移動。そのままリフターで上昇し、かなり高い位置で歌うのですが、2基は半円状のステージ、2基は四角く狭いスペースのままで、狭い方のステージがやや揺れており、心配してしまいました。

 ここで最初のトークタイム。本公演初日とはいえ、すでに3度目とあってリラックスした雰囲気。うれしそうなメンバーたちが、日本語も交えてご挨拶とお礼を述べます。そして、ステージの下へケンが消え、ジェリーが消え、残るヴィックとヴァネスが2人を探すのですが、やがてヴィックも消えて、ヴァネスだけに。それじゃあソロを始めちゃうぞとばかりに、日本語で「そばにいるね」の一節をアカペラで歌うヴァネス。続くソロ・タイムへの心にくい導入となっていました。

 大スクリーンでMV集が流れた後、トップバッターのケンが登場。ソロから2曲を披露します。ノリのいい「La La La」ではファンと一体となり、大合唱に。ロックなケンちゃんが垣間見えたステージでした。続いては、セクシーダンサーたちに囲まれたヴィックが登場。新譜から「モザイク」を妖しい雰囲気で歌います。椅子を使った演出があり、そのまま1曲終ったものの、なんとここで場内アナウンスが。メインステージのリフターが故障し、調整のため10分間ほどコンサートが中断。待たされたものの、おかげで「モザイク」の正しいステージをもう1度、楽しむことができました。2曲目の「Missing U」はドラマ仕立てな演出に。

 お次はヴァネスの登場。自ら率いるバンドメンバーと登場し、スティックを両手にストンプ風のステージを披露。「ソレソレソレソレ、TOKI」「O!」でファンとのいつもの掛け合いもばっちり。この場面、横浜では「YOKO」「HAMA!」大阪では「O」「SAKA!」とそれぞれに盛り上がったようです。そして、意外な演出でファンをびっくりさせたのはジェリー。牧場で動物を飼って暮したいという夢からヒントを得たのでしょうか、たくさんの動物たちが着ぐるみで登場。ジェリーは片つなぎというカントリースタイルで、遊園地のようなステージに。トラにおんぶされたり、プーさんをだっこしたり。風船やリボンを使ったメルヘンな世界が展開しました。大阪公演ではジェリーが着ぐるみに混じることもあったようです。

 ソロ・ステージが終ると、再び4人のステージへ。ケンが『流星花園』の主題歌「心ならずも」を歌いながら登場し、ヴィック、ジェリー、ヴァネスの順に合流。2人ずつで歌いながら花道を巡り、サイン・ボールやサイン入りグッズを客席に投げ入れました。そして、ファンとの交流タイムへ。ヴァネスとケンが引っ込み、残ったヴィックとジェリーが「皆さん、元気ですか?」「楽しいですか?」と観客を先導してウェイブを起させます。題して「Love Love Wave」。こうして皆で楽しんだ後「次は、ヴァネスです!」と再びソロ・コーナーへ。常に4人であることを意識させながらの演出は、バラバラ感をなくすのに効果的でした。

 2度目のソロ・ステージはヴァネスから。ストリート風ダンサーたちと登場したヴァネスは、3曲をメドレーで歌い踊り、迫力のステージはやはり見応えがあります。そしてもちろん、途中で上着を脱ぎ、自慢の鍛えた上半身を見せてくれました。続くケンちゃんは「いい人」を歌いながら、30年代風のレトロな演出で初めてのタップダンスを披露。実はこの日、肩を負傷していたというのは後で知ったのですが、ステージではそんなそぶりも感じさせず、一生懸命頑張っていました。さらに、ギターとパーカッションのみの3人構成で「Rain」。この辺の演出にもケンらしさが感じられました。

 次はヴィックの登場。サブステージの狭いリフトが高々と上昇し、そこでヴィックが歌ったのは日本語曲「Wherever You Are」。ヴィックのまろやかな暖色系の声は、J-POPにもすんなりと溶け込んで新鮮。さらに尾崎豊の「I Love You」と続き、場内は大合唱に。切々と感情を込めて歌うヴィックはなかなか素敵でした。ここで再びヴァネス登場。メイクルームを模したセットに白い帽子と白いスーツ姿。アーティスティックなパフォーマンスと得意のダンスが存分に堪能できる、完成度の高いステージで3曲を披露してくれました。

 今度はジェリーがピアノと共に登場。スクリーンでは、テリー・クァンと共演したドラマドラマ「星心的涙心」の映像が流れ、ジェリーが感情を込めて切々と「一公尺」を歌います。さらに、平井堅の「瞳を閉じて」を日本語で挑戦。日本語はやや危なげでしたが、それをカバーするほどファンも大合唱となり、ジェリーも感動した模様。眼に涙が浮かんでおりました。ここでケンが登場し、バンドのメンバー紹介へ。

 そして、ソロ・コーナーのトリはヴィック。スクリーンにフライト情報が映し出され、「ヴィック機長 Missing」のアナウンスが。そこへヴィック機長がエアライン・ルックのダンサーたちと共に現れ「ママが言うの」。そしてなんと、ワイヤーに吊られたまま空中へ。宙返りを披露するなど、アクロバティックな演出にびっくり。これが予告していた3D演出だったんですね! さらに、飛行機型バイクに乗り込んで花道を走り回り、最後にはバズーカ砲をぶっ放して「The End」(笑)やんちゃなヴィックらしいステージでした。

 こうして、今回のそれぞれのソロ・ステージを眺めてみると、4人が持つ個性の様々な面を取り出して多様な魅力を引き出しており、とてもバラエティに飛んだ構成となっていました。そして、その魅力はこの後のコーナーでもさらに堪能できることに。

 ヴァネスとケンが登場し、ヴィックの新曲「我不是F4」をデュエット。さらに2人でエレキギターを抱え、ヴァネスの「Never Let You Go」をロック・アレンジでジャムセッション。ミュージシャン系ペアの後は、パフォーマンス系ペアの登場。「[イ尓]是我唯一的執着」のイントロが流れ、白衣の男性が登場。しかしそれは、皆が期待していた蘇先生ではなくてヴィック医師。シリアスな表情で成り切って歌っているところへ、本物の蘇先生が登場するという趣向。花道を巡回しながら中央のヴィックに近づいたジェリーは、満面の笑顔でヴィックにチュー。本人も驚いていたけれど、場内では大歓声が渦巻きました。以後、このチューもパフォーマンスに組込まれたようです。

 さらにヴァネスやケンも登場して、4人でケンの「Love Is Impatient」。花道を巡回しながら4つのサブステージで歌を歌い、ファンを喜ばせました。盛り上がっているところへ、スクリーンにはアフロヘアのTETSUさんが登場。Wii風のゲームが始まり、東西南北にいる観客たちの応援合戦を競います。4人のメンバーと一緒にコントローラーをポンポンと振るゲームで、観客と4人が一体となって盛りあがる楽しい演出となっていました。

 そしてラストは、パステルカラーのスーツで登場した4人でのステージ。パープルのケン、ピンクのヴァネス、イエローのヴィック、ブルーのジェリーが並んで「第一時間」を仲良く楽しそうに披露。続く「煙火的季節」は、4人が4つのサブステージへ散らばって、ファンサービス。記者たちがいた南スタンドには主にヴィックがやってきたので、腰を入れて踊っている姿が上からよく見えました。そして観客やファンたちへのお礼を述べ、ラストは新曲の「Goodbye/體驗」。♪Goodbye My Friends♪のフレーズはまさにフィナーレにふさわしく、4人揃って中央のステージへ。4人共、満足そうな表情でしたが、特にジェリーは「ヤッタネ!」という感じのガッツポーズを見せ、隣りのヴァネスと抱き合っていたのが印象的でした。

 4人がメインステージから消えた後は、長い「エフスー」コール。「エフフォー」ではなく、やはり皆さん「エフスー」と叫ぶんですね。再びバンドが登場してかけ声を煽り、ついに4人が揃って登場。「絶不能失去[イ尓]」を歌いながら、東西南北のステージを廻り、ファンとの大合唱に。そして、アンコールのラストはやはりこの曲「流星雨」。これまたファンと一体となって、大合唱が響き渡り、幸せなエンディングとなりました。

 アンコール終了後、あらためて4人とバンドのメンバー、ダンサーたちが登場。バンドやダンサー、スタッフたちを一人一人紹介し、裏方のスタッフにいたるまでに心からの感謝の言葉を述べます。そして、それぞれが最初に登場したサブステージの階段を降りて順に退場。一番最後だったジェリーは明るく「バイバイ!」と手を振って消えていきました。さらにその後、4面スクリーンで4人から再びお礼のメッセージが流れます。4人がそれぞれの思いを中国語、日本語、英語を交えて、それぞれの言葉で伝え、ファンを大切にする真摯な姿勢が爽やかでした。

 という訳で、駆け足でご紹介しましたが、まさに記者会見での予告通り、4人の様々な面が楽しめるヴァラエティ豊かなステージとなっていました。構成も、4人揃っての魅力とソロでの魅力をバランスよく配置し、合間のつなぎにも工夫をするなど、実はソロパートが長かったにも関わらず、4人一緒という印象が強く残るものとなっていました。初めてF4のコンサートを観たという人にも、4人の魅力が十分に伝わったことでしょう。ソロでの活躍が目立っている4人ですが、それぞれの経験を活かしつつ、これからも時々、4人でのコンサートを開いてくれることを期待したいと思います。

(2008.10.7 日本武道館)


記者会見を読む  ▲コンサートレポート | ▼記者会見
更新日:2008.11.15
●back numbers
F4 JAPAN TOUR 2008
10/3-4 横浜アリーナ
10/7-8 日本武道館
10/17-19 大阪城ホール
10.7 rundown

*オープニング映像
 F4 Legend

Waiting For You/在這裡等[イ尓]
Ask For More
Can't Help Falling In Love

mc

Wake Up(Ken)
La La La(Ken)

モザイク/馬賽克(Vic)
*リフター故障のアクシデントで中断したため2度表演
Missing U(Vic)

I'm Not Myself/我不是自己
(Vanness)
Memory Pieces/記憶拱圖
(Jerry)

心ならずも/情非得己

mc
*Love Love ゲーム

Mama/If/Listen To Your Heart
(Vanness)

いい人/一個好人(Ken)
Rain(Ken)

Wherever You Are
(Vic/日本語)
I Love You(Vic/日本語)

Just One Dance(Vanness)
Lucky Me(Vanness)
Do It(Vanness)

One Meter/一公尺(Jerry)
瞳を閉じて/輕閉雙眼
(Jerry/日本語)

*メンバー紹介(Ken)

ママが言うの/媽媽説(Vic)

I'm Not F4/我不是F4
(Ken&Vanness)
Never Let You Go
(Ken&Vanness)
You Are My Only Presistence
/[イ尓]是我唯一的執着
(Vic&Jerry)
Love Is Impatient
/愛不會一直等[イ尓](F4)

*Wiiを使ってgame

I'm Always Here For You
/第一時間
Season Of Firework/煙火的季節
Experience (Goodbye)/體驗

encore

Can't Lose You/絶不能失去[イ尓]
流星雨

*クロージング映像
 F4からのメッセージ
creative staff
総合演出/TETSU
(Bugs Under Groove)
音楽監督/高橋圭一
衣装/四方修平