2008.11.22
朝日ホールスクエア(有楽町)
11月末に開催された第9回東京フィルメックスの審査員として、俳優のレオン・カーファイが来日。朝日ホールでの開幕式典の後、会場を移して簡単な記者会見が開かれました。シリアスな文芸ものから、香港ノワール、人情ドラマにコメディと、多彩な活躍を続けているレオン・カーファイ。最近では、フィルメックスでお馴染みのジョニー・トー監督作品にも出演が続き、ますます演技の幅を広げているようです。
とはいえ、日本のファンやマスコミの前に登場するのは、ほんとうに久しぶり。記者たちがワクワクドキドキしながら待つ会場へ、レオン・カーファイは、なんと髪を真っ白に染め、鮮やかなグリーンのスーツで登場したのでした。まずは、司会役の市山尚三さんから質問が。
市山「審査員としての来日は初めてですが、作品を評価する上で最も重視するのは?」
カーファイ「映画を観るということは、映画全体を評価するということなので、どの部分ということはありません。特に今回は主演男優賞や主演女優賞を選ぶわけではないので、映画全体をどう評価するか。それをしっかり見極めたいです」
市山「昨年のフィルメックスで上映された『天使の眼、野獣の街』(『アイ・イン・ザ・スカイ』のタイトルで上映)は審査員特別賞を受賞しましたが、レオン・カーファイさんはインパクトの強い演技をしていました。役作りで工夫されたところや、撮影時の思い出深いエピソードがあれば、教えてください」
カーファイ「役者をしていて一番幸運なのは、様々な作品によって、別の人物になれることです。『天使の眼、野獣の街』で演じた役は、これまでにまったく演じたことのない役柄で、私にとってはチャレンジの1つでした。撮影では時間がなかなかなくて、皆とても緊張を強いられました。そんな中でも、役にしっかり入り込むことができた。僕にとっては、とても幸せな撮影でした」
市山「大スターなのに人込でのシーンが自然に撮影されています。野次馬が寄って来たり、大騒ぎになったりはしないのですか?]
カーファイ「この頭を見てください(笑)。先ほども言いましたように、役者にとって別人になれるのは幸運なことなんです。様々な監督のおかげで、いろんな人物になることができるのですから。香港というのは、日本や他の国と違って、僕ら俳優もしょっちゅう街に出ているので、その辺をぶらぶらしていても大丈夫なんですよ(笑)」
ということで、ここから記者による質疑応答。早速、その髪の色に関する質問が出ました。
Q:その髪は撮影のためですか?
カーファイ「(いたずらっぽく)人に見つからないように、なるべく人目を避けるためです。髪を違う色にすれば、見つからないと思ったのですが、この役は失敗。やはり見つかってしまいました。とても残念です(笑)」
もちろん冗談でしょう(笑)。
Q:最近は中国大陸資本での大作がどんどん作られていますが、どう思いますか? 香港の映画人としてはどうしていこうと思っていますか?
カーファイ「今回の金融危機によって、おそらく西洋の資金を映画に投入することは難しくなるのではないかと思います。投資家がなかなか見つからなくなるでしょう。そういう状況では、我々アジア、中国も韓国もそうですが、アジアの映画界には希望が湧いて来るのでは? 加油!(がんばろう!)」
次の質問の冒頭で、マイクのコードが絡まっているのを見て「一緒に絡まっちゃった。あんまり仲が良過ぎて…」と冗談を言いながら、率先してコードをほぐすカーファイさん。紳士的かつ庶民的な香港俳優らしく、微笑ましい光景です。 (続く)
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