Q:いろんな監督さんと仕事をされて、いろんな演出スタイルがあったと思いますが、忘れられない思い出を聞かせてください。
カーファイ「(またもや、いたずらっぽく)今ここで、嫌な監督は誰々とか…そんなことを言ってしまったら、その監督からは2度と声がかからなくなるでしょう。監督は皆、それぞれに独特のスタイルを持ち、手法も違っているので、僕は俳優としてのスタイルを貫いていきたいです」
と、真顔でさらっと冗談を言うのはレオン・カーファイならでは。なんだか、記者を煙に巻くような答えばかりになってます(笑)。
Q:インディペンデント映画から商業映画、中国・香港の映画、最新作のカナダ・中国合作映画『金山(アイアン・ロード)』(共演はスン・リー)と、出演の幅が広いのですが、作品を選ぶ基準は?
カーファイ「これまでに、たくさんの監督たちと一緒に仕事をしてきましたが、まだ日本と韓国の監督とは仕事をしたことがなくて、残念に思ってます。アジア映画の発展はめざましく、世界の映画界に対する影響力は日増しに高まっています。この現状は素晴らしいことで、これからも香港や日本、アジアその他の国との合作がどんどん進んでいくでしょう。僕が俳優を引退する前に、日本や韓国の監督とご一緒させていただくことができれば、僕の俳優人生は完璧です。
アジア映画の範囲はとても広く、まだ足を踏み入れていない世界もあります。それはインド。インド映画の市場は、世界の映画市場の中でも巨大です。インド映画市場にこれから食い込んでいくことは重要でしょう。映画は音楽にとても似ています。音楽には、一生懸命に聞こうとしなくても、いい曲であれば自然に人を感動させる力がある。映画も同じように、いい映画であれば、自然にいろんな国の人を感動させることができます」
Q:レオンさんにとっていい映画、いい俳優とは? 50代になられて、今後どんな役をやってみたいですか?
カーファイ「(怪訝そうな顔をして)先ほど楽屋で、年齢質問はNGと打ち合わせしてあったんですが…。(会場笑)一番いい俳優とは、自分の年齢を忘れてしまうほど、しっかり演じることができる俳優でしょう。いい映画とは、観客が観終わった後で、忘れることができない映画ですね」
Q:カーファイさんにとって、そのような映画はありますか?
カーファイ「日本の映画を1つあげましょう。寅次郎…『男はつらいよ』シリーズの寅次郎ですね。これはとても忘れられない映画で、アジアの映画界にも大きな影響を与えています。様々な地域に様々な文化があるわけですが、観客はそれを映画を通して知ることができる。そういうことを、このシリーズは実現しています。毎回違う年齢になった寅次郎が演じるこのシリーズは、その土地やその時代の文化を表しているのです。だから、この映画は僕にとっては強烈な印象のある作品ですが、寅さんの年齢は忘れてます」
と、やはり年齢のことは気にしているようで(笑)。
Q:プライベートな時間は自宅の庭で野菜作りをしているそうですが、今もそうですか? オフの過ごし方を教えてください。
カーファイ「最近、香港はとても天気がよくて暖かいので、今、家の周りにはたくさんの花が咲いています。例年よりずっと暖かく、たくさんの花が咲いているので、とてもうれしいです。最近は、じゃがいもを植えています」
Q:以前(86年)に歌を出されていますが、また歌う予定はありますか?
カーファイ「アルバムを出す予定はありませんが、特別にあなたのために歌うことはできますよ(笑)…会見の後で」
Q:文章がお得意なことでも有名ですが、今後、脚本を書く意思はありますか?
カーファイ「(う〜ん…としばらく考えて)やはり、脚本を書くというのは自分の内面、心をさらけだすという行為なんですね。なので、今後、脚本を書くとしたらペンネームを使って、自分であることは隠して書くと思います。ただ、俳優にとって秘密はないようなものなので、今後、脚本を書いたり、監督をしたりすると、自分のことだとばれるでしょうね。その時は、たとえスキンヘッドになってもだめでしょう」
と、最後は真面目に答えていましたが、やはり香港スター。個別のインタビューではなく、記者会見のような席では、サービス精神なのか、ウケ狙いなのか、ジョークばかりで楽しい記者会見でした。そして寅さんといえば、『月夜の願い』の腹巻き親父!を思い出してしまいました。ダンディな外見とは裏腹に、頭の中はジョークでいっぱい?という感じのレオン・カーファイ。きっと好奇心旺盛で、いたずら好きの少年のような心の持主なのでしょうね。
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