左から、北村龍平監督、ジェリー・イェンさん、綾野剛さん、黒木メイサさん、小栗旬さん、
浅野忠信さん、 玉山鉄二さん、キム・ジュンさん、山本又一郎プロデューサー
2014.8.4 東京国際フォーラム
ついに完成した実写版『ルパン三世』のワールドプレミアが、8月4日に東京国際フォーラムにて開催されました。公式レポートが届きましたで、主要キャストと北村龍平監督、山本又一郎プロデューサーが結集した豪華なジャパンプレミアの模様をまとめてご紹介します。当日は4000人の観客が招かれており、巨大バズーカをぶっ放して映画の完成を祝うと共に、大ヒットを祈願しました。
「ルパン三世」といえば、1967年の誕生以来、40年以上にわたって愛され続けてきた国民的漫画作品。今回の実写版での映画化はどのように実現したのか、まずは冒頭のご挨拶で、山本プロデューサーと北村監督がその思いを話してくれています。
●『ルパン三世』実写映画化が決まるまで
山本「5年前に、角川映画の池田宏之さんから『「ルパン三世」をやりましょうよ』と気楽に言われ、『できませんよ!』と言ったのが最初の返事でした。なにしろ国民的な作品です。モンキー・パンチさんのマンガから、アニメとなって広がり、人気を得ている作品ですから、実写化したらどれだけ多くの人たちを失望させるだろうと、大変な恐怖を感じました。しかし、池田さんという人はしつこくて、月に2回ぐらい食事や酒に誘ってくる。何度も誘われているうちに、できるような気がしてきたんです。
最大の理由は、昨今のCG技術の発展です。アニメーションでやるようなことが、実写の映画でも可能になったんじゃないかと。たとえば、五ェ門が袴で刀を持って街を歩いていてもいいような映画ができる時代が来たんじゃないかと、ちょっとやる気が出てきました。そして、ここにいるキャストとの並々ならぬ道が始まる訳ですね。まず、手足が長くて顔も面長の小栗旬がルパンに一番似ているんじゃないか。
それから、僕にはもう1つ、この映画を作りたい大きな理由がありました。世界各地で領土問題というのが存在しますが、隣人と揉めているのはイヤだなという気持ちがあって、日本だけじゃなくアジアの映画として、アジアの仲間たちと作れないかと思ったのです。そして、日本を飛び出していくのなら、2本のハリウッド映画を作って頑張っている北村龍平監督に帰って来てもらおうと思いました。そして、1本の電話で彼は快諾してくれました。その時、僕は「ルパン三世」を作るとは言ってなかったので、半分騙されたような形で帰ってきて、『「ルパン三世」だよ』と伝えたら、『ええ、マジっすか!』と言ったのが最初の反応でした」
監督「2年ぐらい前に山本プロデューサーから、ロスに住んでいる僕のところに電話がかかってきて、『龍平ちゃん、一緒にやろう。帰ってこい』と言われました。僕にとっては師匠のようなプロデューサーなので、『分かりました』と帰ってきたのですが、「ルパン三世」をやると聞いて、やめときゃいいのに…そんなのできる訳ないじゃないか、と思いました(会場笑)。でも、山本プロデューサー、そして何よりルパン三世として顔が出る小栗旬が覚悟を決めて『俺がルパンをやるんだ』という決意をしてくれていると聞いて、僕も一緒にその十字架を背負うと決めました。
それから2年間、ストーリーをどうしようかと思い、ここまで突っ走ってきました。監督というのはこういうところで、偉い人として紹介されるんですが、一人では何もできない仕事です。呼んでくれた山本プロデューサー、支えてくれた製作委員会の皆さん、そして何より今日ここに並んでいても惚れ惚れするぐらい素晴らしいキャスト、みんながこの「ルパン三世」を実写として映画にすることを助けてくれて、僕を監督として最初から最後までやらせてくれました。
今日来てくれた皆さんの中にも、『大丈夫かな?』と思っている人がいるかもしれないけど、大丈夫です。まったく新しくて、そしてどこまでも「ルパン三世」、そんな映画を作りました。僕たち映画人としての自信と誇りを持って、今日、皆さんにお観せします。これはまだまだワンツーパンチのワンです。ジャブです。ここから、2、3、4、5と作っていきたいなと思っていますので、応援よろしくお願いします」
●メインキャストの皆さんからのご挨拶
小栗旬(ルパン三世役)
昨年の暮れにみんなで頑張って作った作品です。受け入れてもらえるのか、もらえないのか、僕らもドキドキしています。ワクワク楽しんでもらえる映画ができたと思っています。僕は痩せるというところから始まったので、痩せることがチャレンジでしたね。あとは英語が苦手なので、英語を喋るというのもかなりのチャレンジでした。
玉山鉄二(次元大介役)
僕はガンアクションや英語がチャレンジでした。それから、タイのチェンダオで撮影したのですが、着いてすぐにお湯も水も出ないという事態に巻き込まれて…。旬はじめ、メイサ、剛に勇気づけられました。タイでの撮影はすごく大変でしたが、特に思い入れのある仕事だったので、今日こうしてワールドプレミアを迎えることができて嬉しい気持ちと寂しい気持ちが入り混じってすごく複雑です。数少ない日本のアクション映画の中で、メイド・イン・ジャパンのアクションというものを皆さんに感じてもらって、楽しんでもらえたらと思っています。
綾野剛(石川五ェ門役)
今日はジェリーとジュンも来てくれて、同じステージに立てて皆さんに観てもらえるのが何より嬉しいです。僕、夏が嫌いなんですよ。もっと言ったら、暑いのが嫌いなんですよ。タイ、暑いんですよね。でも、五ェ門なので涼しい顔をしなきゃいけないので、暑さにチャレンジするという気持ちはありました。タイという国が好きになりました。五ェ門はデフォルメされた役なので、逆に固めやすかったですね。妙なプレッシャーは排除して、なるべく記号に徹してやりました。五ェ門はわりとあり得ないことをするので、自分を騙しながら、「五ェ門は当然のようにできるんだ」と思いながらやっていました。
黒木メイサ(峰不二子役)
公開はまだ8月30日ですが、一足早く皆さんに届けられる日が来てすごく嬉しいです。今日は「どうなんだ?」というテンションかもしれないですけど、観てやってください。私は体にフィットする衣装を着る機会が多くて、こうしたドレスを着た状態でヒールを履いてアクションをするのが大変でした。不二子は男性も女性も魅力を感じるキャラクターだと思います。現場では監督が、不二子を美しく撮るためにいろいろな角度からいろいろな撮り方をされたり、英語のセリフをいきなり変えたりと、いろいろなことがありました。
浅野忠信(銭形警部役)
とっつぁんの役を僕にやらせるというのがまずチャレンジでした(会場笑)。まさかとっつぁんだとは思わなかったですね。ずっと「ルパン三世」のファンですから、実写化も期待していましたし、友達から「お前は次元だろう」と言われていたので「そうだよね。ヒゲも生えているし。まあ、あとは着物を着れば、五ェ門もいけるだろう」と言ってたんですけど、とっつぁんがきたかと(会場笑)。最初は無理だと思ったけど、チャレンジするしかないと思って引き受けさせてもらいました。僕は警官の役なので、映画だったら今日は捕まえる絶好のチャンスなんですが、捕まえる訳にはいかない。なぜならパート2が観たいから(会場大歓声)。ぜひシリーズ化してほしいんです。
ジェリー・イェン(マイケル・リー役)
初めてこういう役柄にチャレンジしました。幸い、監督といろいろ話して演じる方法をたくさん教えてもらえたので、今回この作品に参加させてもらえてとても嬉しかったです。僕は英語が苦手なので、それもチャレンジでしたね。あと、撮影が終わってからですが、アクションシーンはとても難しかったと思いました。
キム・ジュン(ピエール役)
このように素晴らしいキャストや製作陣の皆さんと、素晴らしい作品に参加できたことを光栄に思っています。最初は、韓国人は一人なのでちょっと寂しい思いをするんじゃないかなと思ったのですが、到着したら本当に皆さんが温かく歓迎してくれて、配慮してくれて、積極的に親しみを持って接してくれたので、すぐに溶け込むことができました。最後の方では、自分の部屋にいるより、誰かの部屋にいる方が多くて、皆さんをお騒がせしたかなと思います(笑)。僕は日本語も英語も韓国語も使うので、「一体、どこの国の人なんだろう?」と。特に日本語が難しかったので、セリフ以外にも皆さんに言ってもらったものを録音して、それを聴いて練習しました。特に小栗さんバージョンがお気に入りで、それを聴いてよく練習していたので、もし僕の日本語がヘタだなと思ったら、それは先生だった小栗さんのせいです。
過去にタイの作品にも出演している浅野さんは、タイでの撮影への思いも披露。
浅野「以前にタイの映画に2本(『地球で最後のふたり』『インビジブル・ウェーブ』)出たことがあります。それ以外にもタイで撮影したことがありまして、タイは本当にすごくお世話になって、いい思いもさせてもらっています。と同時に、ちょっと苦しい思いもしてまして…僕はちょっとお腹が弱くて、撮影初日に入院したり、お腹を壊したことがあったものですから、ちょっとタイが怖かったんですね。この作品に入る前にフィリピンで違う作品をやっていて、それがすごく大変で、フィリピンが終わってタイに行くと考えたらイヤになって、『やっぱり俺、おりる。やりたくない』と、事務所の社長でもある自分の父親に言ったんですけれど、『もう無理。引き受けたんだからやれ』と言われて…(笑)。でもタイに行ったら最高すぎて全然大丈夫でした。結果、オッケーだったんです(笑)。タイのスタッフは素晴らしいんです。いろいろな国の人がタイに来て撮影するぐらい、タイの人もタイのスタッフの人も優れていますし、料理もおいしいです。またタイに救われたという感じがありました」
●映画『ルパン三世』について
監督「世代によっても何が正解というものはないと思うんですね。漫画に寄せても、アニメに寄せても、必ずどこか違うものになってしまう。ただモンキー・パンチ先生が作られたスピリットだけはずっと僕の中で40年間、水のように空気のように親しんできたものなので、そこだけぶれないようにして、まったく新しい『ルパン三世』を作ることを心がけました」
小栗「本当にいろいろな時代の「ルパン三世」があり、僕らもいろいろな「ルパン三世」を観てきたので、どうしようかなと。台本の中にも、これって絶対にアニメを意識して書いているなと思うシーンがあったりして。浅野さんとも『どうしても、とっつぁんだと思うと声がああいう感じになっちゃうんだよな』と話したり。意識している訳ではないけど、どこかにあのイメージがあるので、『いろいろやってみるので、監督がバランスとってください』と話しながらやっていました」
ここで、リクエストに応えて小栗さんがしぶしぶ演技を再現。黒木さんの「ごめんねえ、ルパン…」に小栗さんが「そりゃ、ないぜ〜! ふ〜じこちゃ〜ん!」とルパンの名セリフをきめ、大喝采を浴びました。日本とアジアの選りすぐりのスタッフ&キャストが共同で作りあげた映画『ルパン三世』は、8月30日より日本全国ロードショー公開予定。その他、アジアをはじめ、世界10数カ国での上映が決定しています。
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