中国からやって来た
モダン・チャイニーズ [イ肖]江南
2006年6月20日
食の都とも言われる香港ですが、中国の発展につれ、最近は大陸から進出してくるレストランも増えてきました。多くは中国でもそれなりの歴史を持つ老舗や、大規模に展開している大衆チェーン店なのですが、それらとは一線を画す、かなり外国人好みの新しい店が最近開店しました。
そのレストランの名は「[イ肖]江南」。北京や上海を中心にここ数年急ピッチで支店を増やしているレストランで、香港ではこの銅鑼湾の店が初となります。場所は、タイムズ・スクエア(時代広場)に程近いリー・シアター(利舞台)というビルで、メイン・エントランスではなく、かつて映画館があった頃のチケット売場の方から入ります。
入口を入ると、まずは左手壁面に滝、無機的なコンクリートの空間に置かれた赤い椅子と、いきなり香港の中華料理店とは思えない内装。ここにレセプションがありますので、予約していれば名前を告げてエレベーターで5階まで上がります。なんとエレベーターの中は紫の照明で、健全なレストランにしてはちょっと妖しい雰囲気。
5階に着くと、そこはゆうに2階分の空間をぜいたくに使った天井の高いレストラン・フロア。日本の店舗デザイナーが手がけているという内装は、コンクリートの壁にスチールの階段といった無機的な印象の中に、大きな赤いランタン風シャンデリアという鮮やかなもの。フロア手前のらせん階段を登ると2階席もあり、昔は広東オペラも上演されていたという出自も感じさせる劇場風デザインには、確かに足を踏み入れた瞬間の驚きがあります。
この「[イ肖]江南」、北京や上海ではかなり有名で、かのトム・クルーズも「MI-3」の上海ロケ中に訪れたことがあるとか。最近、映画の撮影でしばらく中国に滞在中のチョウ・ユンファも、お気に入りと言われています。なるほど、外国人が好みそうなおしゃれな中国風ですが、しかしオープンから1ヶ月余り、香港では「高い割にはおいしくない」という噂の方が正直言って多いような気が…。
というわけで、お味の方はどうかな!?と期待と不安の入り混じる気分で、メニューをチェック。この店、北京と上海を中心に展開しているものの、料理は四川がメインです。ここ香港では広東料理も用意されていますが、グルメサイトで「少なくとも広東料理は避けるべし」というコメントがあったのと、写真の豊富な四川のページに対し、広東料理のページは写真もなく力を入れてないのが明白だったので、広東料理はパス。とりあえず「人気No.1」とメニューに書いてある「江石滾特級肥牛」と雑誌でよく紹介されている「[日京]衣白肉」、メニューの写真がおいしそうだったので「手撕鶏」をオーダーしてみました。
まず出てきたのは前菜の「手撕鶏」。言ってみればバンバンジーみたいな感じですが、なかなか辛い。そして「[日京]衣白肉」は、四川の定番「蒜泥白肉」(ゆで豚のニンニクソース和え)のおしゃれバージョンといったところ。あまり気候のよくない四川では、竹ざおを使って風通しの良いところに洗濯物を干すのだそうで、そうした四川らしい日常の光景を料理に取り入れた盛り付けです。ゆでた豚肉でニンジンや大根の千切りを巻き、唐辛子ソースかニンニクソースでいただきます。若干肉が少ないのが物足りないですが、お味はGood!
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