Q:カナダで映画を勉強されて、香港で監督になられました。香港はエンターテイメントの映画が主流ですが、その中で、例えばピーター・チャン監督やベニー・チャン監督は香港人の生活や心を描いた作品もたくさん作っています。監督にもその影響はありますか?
監督「毎回、違う監督と組むたびに、その監督たちから学んできました。監督だけでなく、出会った人すべてが先生でしたね。観察をすることで学ぶことも多いし、自分が謙虚な姿勢でいれば世の中から多くのことを学ぶことができるんです」
Q:例えばアクション映画を撮っている時でも、心の部分を大切にしてこられた?
監督「感動する映画が好きなんです。だから、そういう映画を作りたいし、その感動を通じて観客に希望、愛、喜びをもたらすのが重要だと思っています」
カカ、シュシュ、ルイ先生、チュチュ、キティ、ジェニー
(c)2015 Universe Entertainment Limited
Q:一国二制度といいながら、香港には中国からどんどんお金が入ったり、考え方も入ってきています。そうすると、香港映画らしさが失われているという見方もあります。そんな中で、今の香港人の気持ちを反映したのでヒットしたという見方もありますが、いかがでしょう?
監督「その見方には同意できませんね。観客がこの映画を好きになってくれたのは、ほんとうに感動したから。どんな時代にも試練はあります。一国二制度になっても、その未来にも、違う試練がある。それでも、人間は夢や使命を探し求めます。この映画が語っているのはまさにそれなんです。自分が社会貢献をしていくことで、世界を変えることができるかもしれない、と。たった5人の子どもたちがメッセージなんですね。5人の人生はとても重要で、これは大きな問題なのだと、この映画を通じて話し合うことができるんです」
実話とフィクション
Q:実話に基づいた話ということですが、特に夫婦の強い絆や愛情、家族愛が強調されているように思います。その部分も実話に忠実なのですか?
ハンナ「これは実話に基づいた物語です。実際のルイ園長にもドンさんという夫がいて、とても献身的に支援してくれています(笑)いろいろと尽くして妻の成功を応援してくれる夫がいて、素敵なカップルですよね」
Q:羨ましいですね。ドンさんはほんとうにギロチンを作っておられたのですか?(一同笑)
二人「そうなんです!」
監督「等身大で作ると豪語したけど、半分のサイズでしか作れなかったそうです」
Q:妻に見せるために、わざわざ運んでくるシーンがありましたが、あれも実話ですか?
ハンナ「病院へ運んできたこと? あれは脚色です(笑)」
監督「なかなかロマンチックでしょ(笑)」
ハンナ「あと、ドンが病院で歌を唄うところ。あれも演出です(笑)」
夫のドン(ルイス・クー)は妻ルイ(ミリアム・ヨン)を献身的に支えていく
(c)2015 Universe Entertainment Limited
Q:子どもたちにキャラクターを付けるために演出した部分はありますか? 創作の部分や特に強調されたところがあれば、教えてください。
監督「ほとんどは現実にかなり近いと思います」
ハンナ「たとえば、台所で料理をする小さな女の子(シュシュ)がいますよね? 撮影した場所は…」
監督「実際に住んでいる家なんです」
初めてのパキスタン人との仕事
Q:パキスタン移民の子ども(キティとジェニー)がいますね。他の子どもたちの両親や保護者役は俳優さんですが、このパキスタン人の両親役も役者さんなのですか?
監督「お母さん役は俳優ではありません。今まで演技をしたことがない人です。でも、夫役は役者で、これまでにギャングや悪人、囚人、ボディガードなどを演じています(笑)。でも、良き夫役は初めてでした。映画の中では、最初はいい夫じゃなかったけど後でいい夫に変わります。とても楽しかったですね。パキスタン系の人たちと仕事をするのは初めてでしたが、素敵な方たちでした。とてもいい人たちです」
ハンナ「彼はこの映画が大好きなんですよ」
監督「撮影前、彼らの文化を尊重したくて、たくさんの質問をしました。たとえ彼らが香港に住み、広東語が話せても、伝統的な習慣は守っています。そのような文化を尊重し、いつどんな食事をしているのか、いつどんな風に祈りを捧げているのか、いろいろ調べながら進めました。とても有意義な時間でした」
Q:彼らは香港生まれなんですか?
監督「子どもたち、ジェニーとキティは香港生まれです。両親はパキスタン出身だそうです」
(次頁へ続く)