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ドッグ・バイト・ドッグ

監督:ソイ・チェン
脚本:マット・チョウ、セット.カムイェン、メルビン・リー
撮影:フォン・ユンマン
美術:シルバー・チョン
音楽:チョン・チーウィン、ベン・チョン
キャスト:エディソン・チャン/サム・リー/ペイ・ペイ/ラム・シュー/チョン・シウファイ/ライ・ユウチュン/ラム・カーワー

2006年/香港
日本公開日/2007年8月11日
カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル/108分
配給:アートポート
(c)2006 Art Port Inc.
2007年 仏ドービルアジア映画祭2007 最優秀アクション賞

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ドッグ・バイト・ドッグ
(犬咬犬/Dog Bite Dog)

story

 香港の高級レストランで、殺人事件が発生した。被害者は弁護士のリー夫人。サム警部(チョン・シウファイ)率いる捜査チームは現場に駆けつけ、容疑者はプロの殺し屋と推測する。そこへ、ベテラン刑事のリン(ラム・シュー)とコンビを組むワイ(サム・リー)が、遅れてやってきた。彼の父親は、誰もが憧れる刑事で、サム警部の親友だったが、1年前に瀕死の重傷を負い、昏睡状態で入院。それ以来、ワイは怠慢な態度を取るようになっていた。

 店を出たワイは、不審なタクシーの存在に気づき、尾行の末、屋台街に入るパン(エディソン・チャン)を発見する。瞬く間に客の1人を人質にしたパンに対し、リンが交渉人として説得をするが、パンは容赦なく人質を射殺。リンも刺殺してしまう。怒りを覚えたワイはパンに銃を向けるが、同僚のチュン(ライ・ユウチュン)に制止され、パンは無抵抗なまま刑事たちに取り押さえられる。しかし、パトカーで連行される途中、パンは手錠をはずして逃走した。

 ワイの執拗な捜査により、パンの所持品から被害者の夫・リー氏の指紋が検出される。結婚30年目にして、妻から離婚を言い渡された彼は、妻の殺害を組織に依頼していたのだ。一方、パンの首にあった刺青から、彼がカンボジア人の孤児で、幼い頃から闘犬のように育てられたことが判明する。ドキュメンタリービデオには、ゴミの山で暮らし、闇の格闘場で生きるために殺し合う少年たちの姿が映っていた。

 パンは、ゴミの埋立地へやって来ていた。ゴミ山にある小屋を覗くと、少女(ペイ・ペイ)が男に襲われていた。小屋に忍び込んで男の首を絞めたパンは、飾ってあった家族写真から、その男が少女ユーの父親と知る。「生きたいなら殺せ!」パンは彼女にも刃物を向けさせた。船の絵を描いて、港はどこかと尋ねるパンに、ユーは自分も連れて行って欲しいと無邪気に頼む。そこへ、パンが組織へかけた電話から居場所を突き止めたチュンがやって来る。危険を察したパンは車を奪い、ユーを連れて逃走するのだが…。

●アジコのおすすめポイント:

ただならぬ気配の冒頭から、全編が緊張感に満ちており、様々な感情が交錯して展開する物語に一気に引き込まれます。かなり激しいバイオレンス描写もありますが、生々しくないのは血が飛び散ったりしないから。細かい部分で演出の抑制も効いています。セリフがほとんどないエディソンですが、『同じ月を見ている』を経験したせいか、目や表情での演技が素晴らしい。対するサム・リーは、父親との確執というもう1つのテーマを繊細に演じています。ラストの死闘場面は渾身の演技で壮絶ですが、ペイペイの存在が重要なキーとなり、この物語のテーマを体現しています。

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