さくらんぼ 母ときた道(桜桃/Cherries)
story
1980年代の中国。美しい棚田と豊かな自然に抱かれた雲南省の農村に拾われたインタウ(ミャオ・プゥ)は、知的障害を持ちながらも明るく伸び伸びと育ち、足の不自由なグォワン(トゥオ・グゥオチュアン)と結婚する。暮らしは貧しかったが、2人は互いを思いやり、支え合いながら生きていた。そして、子どもが授かるのを心待ちにしていた。
ある夜、些細なことで腹を立てたグォワンは、インタウを家から追い出してしまう。暗い夜道をさまよい歩くインタウは、泣いている赤ん坊を見つけ、家に連れ帰る。赤ん坊はホンホンと名付けられた。その日から、子どもが欲しかったインタウの生活の中心は、ホンホンになった。
妻が赤ん坊に夢中になった寂しさや生活苦から、ある日、グォワンはインタウに内緒で娘をよその夫婦にあげてしまう。ショックを受けたインタウは、町へ娘を探しにでかけ、1日中町をさまよい歩く。ぼろぼろの服を着たまま、ふらふらになりながらもホンホンを探すインタウ。心配になって探しに来たグォワンは、ホンホンを取り戻すことに決め、再び母と子の幸せな生活が始まった。
何をするにも母と一緒。豚を散歩に連れていくのも、鶏に餌をやるときも、ホンホンはいつも母の後をついて回った。インタウはさくらんぼの木によじ登り、ホンホンのために甘い実をたくさん採ってくれた。それは、ホンホンにとって、大切な母との忘れられない思い出となった。
成長し、小学校に通うようになったホンホン(ロン・リー)は、自分の母が他のお母さんと違うこと、皆からバカにされていることが気になり、次第に恥ずかしいと感じるようになっていく…。
●アジコのおすすめポイント:
美しい雲南省の田舎を背景に、知的障害を持ちながらも、心やさしい村人たちに囲まれて育った女性が結婚し、拾った赤ん坊を大切に育てていく物語。美人女優のミャオ・プゥさんが『鳳凰・わが愛』の時よりもさらに顔を汚し、いつも赤い服を着て、悪ガキどもにバカにされながらも娘のために懸命に生きる母親を、ときにコミカルに熱演しています。驚くのは、このミャオ・プゥさん以外の出演者のほとんどが素人から選ばれた新人ばかりだということ。特に気のいい夫役を演じたトゥオ・グゥオチュアンは、雲南省の公務員が本業のアマチュア役者だそうですが、いい味を出していて印象に残ります。ホンホン役を演じた美少女ロン・リーも、この出演をきっかけに女優を目指しているとのこと。また、村長役を演じたマ・リーウェンは、棚田の写真で有名なフォトグラファーだそうです。村の人々の素朴で自然な演技、やさしくて甘酸っぱくて、ちょっぴり悲しい母と子の物語をお楽しみください。
▼ミャオ・プゥ&監督インタビュー ▼公式サイト 閉じる
|