ペルシャ猫を誰も知らない (No One Knows About Persian Cats)
story
ネガル(ネガル・シャガギ)と、そのボーイフレンドのアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)はともにミュージシャン。インディー・ロックを愛する彼らは、演奏許可が下りないテヘランを離れてロンドンで公演することを夢見る。しかしアシュカンは、無許可で演奏したという理由で逮捕され、ようやく釈放されたばかり。バンドのメンバーもばらばらになってしまった。2人は危険もかえりみず、違法にパスポートやビザを取得しようとする。
エンジニアのババクに相談した2人は音楽のためなら何でもござれの便利屋ナデル(ハメッド・ベーダード)を紹介される。ナデルは2人が無許可でつくったCDを聞いて彼らの才能に驚き、国を出る前に、自分がCD制作の許可もコンサートの許可も取りつけてやると大見得をきる。
そのために、まずバンドのメンバー探しを始めた彼らは、有名歌手ラナ・ファルハン、牛小屋で練習をしているヘヴィメタル・バンド、3度逮捕され現在は密かに練習をしている友人のバンド、ババク率いるブルース・バンド、海外に言ったことのあるフュージョンバンド、イラン最高のラッパー、ヒッチキャスなど多岐に渡るミュージシャンの元を訪れる。
演奏許可など出るはずはない、と思っているネガルは、とにかく偽造パスポートが手に入るかどうかを心配している。2人はナデルに頼んで、偽造を一手に引き受けている老人ダウッドの元へ行く。それでも不安がないわけでなく、ロンドンで演奏するための曲づくりははかどらない。偽造パスポートの代金も高額だった。コンサートさえ開けば、金は工面できると、ナデルは2人を安心させるが……。
●アジコのおすすめポイント:
女性はサッカー観戦をできないという『オフサイド・ガールズ』を観た時もびっくりしましたが、イランにはまだまだ私たちの知らない規制があるようです。そうは言っても、サッカースタジアムに男装して潜り込む少女たちがいるように、この作品では禁じられても様々なスタイルの洋楽を楽しんでいる若者たちがたくさんいることに驚かされます。実在のいろんなバンドやミュージシャンが次々と登場し、その豊かな音楽を披露してくれます。ヘビメタ・ロックやブルース、パンク、ラップだけでなく、イラン伝統音楽を取り入れたダールクープのようなグループも登場します。実際に起こった事件を実在のミュージシャンたちと共に描いた社会派の作品ですが、音楽映画としても充分に楽しめます。
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